人生の価値を考える―極限状況における人間 (講談社現代新書JEUNESSE)

著者 :
  • 講談社 (1998年2月1日発売)
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感想 : 4
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生きる意味を見出す方法

タイトルに人生の価値を考えるとあるが、人生には意味があるのかないのかを議論する、という意味ではない。人生には意味がある、しかしその意味はどうしたら見出せるのか?、ということを議論するという意味である。したがって、人が生きる意味とは何かを哲学的に議論したい人には向いていない。向いているのは、人生に意味を感じられない、しかしどうやって意味を見出したらよいのか分からない、というような人となる。

生きる意味を見出すヒントとして、5人の人物の生き様が紹介される。前半3人では、極限的な苦悩に陥った一般人がそれぞれ生きる意味を見出す方法と過程が解説される。そして4人目、ヴィクトール・フランクルの章がこの本の核心である。この章は、一応フランクルの生き様の紹介という体であるが、実質は前半に示した実例の理論的説明と言ってもいいと思う。フランクル自身、人が生きる意味を見出す方法を考え続けた精神科医であるからだ。ここでフランクルの考え方が紹介される。それは「我々は人生を問う存在ではない。逆に、人生から問われている存在なのである」というものである。"これは、人生に対して多くの人々が取っている態度を逆転させる、そして、極限状況においてもけっして人を絶望させない、真に独創的な考え方だと言ってよかろう"(P149)と述べられている。これこそが、前半3人とも共通する、人生の意味を見出す方法ということになる。そして5人目、ソクラテスの章において、その方法を、極限状態をきっかけにしてではなく、自らにおいて常に実践し続けた例が紹介される。

この本には偉人伝にはない良さがある。それはなにかというと、その人が凄すぎて普通の人には参考にならないということがないこと。理想的な実例の提示に留まらず、著者による分析がなされているのがありがたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年2月14日
読了日 : 2023年2月4日
本棚登録日 : 2022年12月3日

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