ノーライフキング (河出文庫)

3.38
  • (32)
  • (49)
  • (84)
  • (24)
  • (7)
本棚登録 : 523
レビュー : 73
GMNTさん 小説   読み終わった 

 最近、すべてのものはシティボーイズとラジカル・ガジベリビンバ・システムに通ずるなあ・・・と感じることが多いです。たとえばバカリズムの師匠(的存在)はいとうせいこうだったり、いとうせいこうの師匠はきたろうだったり、『仮面ライダークウガ』を観たらきたろう、『アオイホノオ』を観たらきたろう、SUZUKIにきたろう、夜中にふとナン男を観たくなって『竹中直人の恋のバカンス』、『ニッポン戦後サブカルチャー史』を観たら宮沢章夫・・・等々。
 というわけでいとうせいこうの『ノーライフキング』、これは子どもの頃から読みたかった本でした。知ったのは’91~2年ぐらいだったけども、なぜ気になってたかというとこの本の主人公の学年が小4で10歳、『ノーライフキング』発表が’88年なので僕は彼らと同い年、全くの同世代なのです。
 
 冒頭の序文、
 “日本の子供たちが、一斉に何かを乗り超えようとしたあの年。子供同士が持つ情報網は、それまでどんな歴史の中にもあり得なかった規模で巨大化し、複雑化していた。”
と書かれています。
 よくある偶然だけど、この本の前に『幼年期の終わり』を読んでいて、この「幼年期」は人類という種族の幼年期だったけども、これを額面どおりの幼年期にした小説なんじゃないか、と・・・この序文を読んで思いました。正しいかどうかわかりませんが、それを踏まえて「あとがき」を読むと意味がよくわかります。奇しくも、ハヤカワ版『幼年期の終り』と新潮版『ノーライフキング』の表紙はどちらも上原徹さんが描いている(最初のハードカバー版は藤原カムイ)。『幼年期の終わり』+『スタンドバイミー』的な印象。
 作中に出てくるライフキングというゲーム、’88年当時というとドラクエIIIが発売された年なんですが、ゲームの内容からすると’86年に出た『たけしの挑戦状』の自由度にかなり近いです。『たけしの挑戦状』はポートピアやドラクエの影響も受けてると思うんですが、’86年にあの内容というのはほんとにすごい。大好きでした。
 
 小説の内容について。ハッとさせられた表現も多々あるものの、当時小学生だった身としては「いや~そんなこともないけどな」という部分も。ど田舎に住んでたので都市部の子どもたちとの差があったのかもなあ。ゲームの裏技情報は普通に雑誌や攻略本から得てましたし・・・。ただ、ゲーム関係なく「噂」的なものはやっぱりありましたね。
 作中で「リアルとは何か」「ゲームの内容は自分の部屋に帰るだけ、部屋から出ろというメッセージ」と自虐的に書かれているけども、落とし所としてはベタでもよかったんじゃないかなあと中途半端にも感じました。

 '88~9年は昭和が終わり、手塚先生や美空ひばりが亡くなったので子ども心に印象深かった年です。それと同時に宮崎勤事件もあったんで、「恐ろしい噂」やフィクションの世界なんかよりも現実世界の方がよっぽど恐ろしくて狂ってるなあと。
 宮崎勤は'62年生まれ、いとうせいこうは'61年生まれ、ついでにこの時期『トップをねらえ!』を作ってた庵野秀明は'60年生まれとほぼ世代が一緒です。なので『幼年期の終わり』的作品になってもおかしくはないですね。
 序文にもあるように「集団成長」を遂げる話ですが、パソコン通信やインターネットの無い時代に、横の繋がりが噂だというのは面白いところです。ここをネットワークに置き換えるとそのままサイバーパンク小説になると思う。

レビュー投稿日
2014年11月26日
読了日
2014年11月22日
本棚登録日
2014年11月20日
2
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『ノーライフキング (河出文庫)』のレビューをもっとみる

『ノーライフキング (河出文庫)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

『ノーライフキング (河出文庫)』にGMNTさんがつけたタグ

いいね!してくれた人

ツイートする