ふだんは新刊本をあまり読まないタイプだけれど、図書館の新刊本コーナーでふと目にとまったので借りた。元々シェイクスピアとは何かすら知らなかった私、最初に触れたのは大学1年の頃の英語の講義だったか。教授がシェイクスピア研究をされていたことと、『ローマの休日』など映画をテキストにしていた。丁度、当時は『恋におちたシェイクスピア』の公開直後だったので、学年があがると講義でそちらも鑑賞した。しかしろくすっぽ勉強しない学生としては、「英語」をしっかり学ぶというよりも「映画」の方に夢中で、『ローマの休日』はおもっしれぇなぁ〜とか、グウィネス可愛いなぁとかそういう事しか学んでなかったっすね。
時は流れ、色んな映画を観れば観るほどシェイクスピア作品がかなり元になっていることに気づく。黒澤の『蜘蛛巣城』『乱』は翻案だから当然として、最初の『機動戦士ガンダム』や『伝説巨神イデオン』も、元を辿ればどうやらシェイクスピアらしいぞと、興味がわいてきた。
それから実際に戯曲を読んでみたいと思ったのは、2021年に松岡和子さんが完訳を達成したというのをTVで見てから。そう思いながらも読まない私の目の前に出てきたのがこの本。パラパラとめくると著者と松岡和子さんの対談が収録されていたのが、借りる決め手となった。
『14歳のためのシェイクスピア』というタイトル、これは私のような中二病の人間にもピッタリじゃないか?そう思いながら読む。しかし序盤は、いかに14歳=中二向けとはいえ、ちょっとふざけすぎじゃないか?と感じた。その頃の私は、以前も書いたように中学校の図書館に有吉佐和子の『複合汚染』がなぜ下巻しかないんだろう?と思っていた時期。今の中学生ってどうなんだろうか、それはわからんが。子供向けに「わかりやすく書く」ことと、「面白おかしく書く」ことは、全然違うんじゃないだろうか。
しかし読み進めていくと、今度は逆に「おいおい、こりゃあ中学生向けってレベルじゃねーぞ!?」と感じてきたので、とても面白くなってきた。つまり、中学生よりも我々オトナで「シェイクスピアに興味はあるけど、よくわからん」と思ってる人が読むのにピッタリだと思う。
さて内容についてだが、実は私は内容についてあまり語ったり要約したくない。
いくつか印象に残っている点だと、シェイクスピアの喜劇と悲劇の違いについて。喜劇は「全員結婚する」、悲劇は「全員死ぬ」らしい。まさに富野作品じゃないか!笑
14歳にわかりやすく解説するために、2024年現在のトピックとしてAIやロシアによるウクライナ侵攻の話などが沢山でてくる。同時にこれは、新刊本を読むことの利点や良さのひとつだと思う。
私は図書館で借りたので帯がなくわからなかったのだが、ネットで書影を見ると推薦文が糸井重里と齋藤孝だった。書店でもしこれを先に見ていたら、逆に読む気にならなかったかも。前者は、「ほぼ日」絡みの企画の人脈からこの本が企画されたことから。後者は、この本はワークショップ的性格をもつ、つまり演劇なので、声を出してセリフを読んでみよう!という身体を使って体験させる内容も含まれているため。
最後、お楽しみの松岡和子さんとの対談もとても良かった。結局シェイクスピアを褒めちぎるふたり笑。「シェイクスピアの広報担当(頼まれてもいないのに)」というのは良い。
あと、串田和美さんなどのお名前が出てくるのが、演劇全くワカラン人間からすれば面白い。(アンダーグラウンドシアター)自由劇場→黒テント、吉田日出子さん主演で『上海バンスキング』を演出された方。
というわけで次はちくま文庫の全集を少しずつ読んでいきたいと思う。
- 感想投稿日 : 2025年1月2日
- 読了日 : 2024年12月21日
- 本棚登録日 : 2024年12月18日
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