【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社 (2016年5月27日発売)
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本棚登録 : 485
感想 : 42
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サイクス=ピコ協定を銘打って、池内先生が書かれているので、面白そうと思い手に取りました。
冒頭で池内先生が指摘されているように、サイクス=ピコ協定は大国による密約で悪でしかないもの、と私も思っていました。悪ではないわけではないですが、オスマン帝国崩壊に際して、1つの「解決策」として考えられたものだという視点を本書によって得られました。
皮肉なことにアラブの春によって、再び中東が混迷する中、欧米が手をこまねいている間にロシアが進出してくるという、100年前と同じような構図ができている、というのもなるほど、というお話でした。
国民国家を前提とした国境の線引き、というのはかなり破綻した考え方だと最近とても感じていますが、では中東の国々はどのような形になると中東の人々にとって”最善”といえるのか、本書を読むことでますます難しい問題に思えてきました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 趣味・教養
感想投稿日 : 2018年11月3日
読了日 : 2018年10月26日
本棚登録日 : 2018年9月8日

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