決定版 私の田中角栄日記 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2001年2月28日発売)
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感想 : 10
4

ロマンスは興味なかったが、男目線と仕事のパートナー兼女性目線の違いが見たくて読んだ
田中本数冊目、読めば読むほど田中が魅力的。
この本を読むと角栄は冤罪だと思った
政治の中で金が動くのは必然
会社だって営業協力というのやってますよね
他社の製品買わされたり、社内で自社製品買わされたり
佐藤さんは経理を一任されていただけに、きっちり管理して有り
数学が得意と言うだけあり、数字に強いです
それが取り調べの時にも活きてくる
思っていたよりも、お金にクリーン
数冊も読んでいたので、分かっていましたが
それでも、出すは出すけど受け取らないといった印象
受け取らないとは献金じゃなくて、袖の下のことです
メロンの下に敷いてあったものを慌てて返しに行ったり
疑われるようなことを雑誌に書かれたときに訴えたり
悪い噂のある人が同じビルの一階に店を持っていた時は
慌てて事務所を引っ越したり
火の粉を払って回っています

女性特有の目線や会話も面白い
「ソ連のホテルでは会話を盗聴されているらしいわよ」
帰ってきた角栄が
「ここの石鹸は酷いと部屋で言うと、翌日はちゃんといい石鹸が入っているし、トイレットペーパーはざらざらじゃないかと言うと、新しいのに取り替えてある。盗聴されるのもいいもんだぞ」


「俺は二期六年はやらない。一期三年で人の二期分、働いてみせる」

ロッキードのことで検察に呼ばれ、二、三時間取り調べを受け「五億」のことには一切聞こうとしなかった
が、調書にはこう書き入れた
【田中角栄がロッキード社から受け取った五億と自分の事業の金を政治に使ったということは、私は知りませんでした】
もちろん、佐藤さんは「ここは消してください、貰ったと思ってません」と納得しない
検察「世間ではそう言われているんですよ。それを田中さんが知らなったということでしょ」
なんだ、この検察・・・世間ではって・・・
結局、その二行は三十分くらいのやり取りで赤線二重線を引かせ目の前で消した

総裁選の際の中曽根の発言「田中・大平派の金の力に負けた」腹黒すぎる
もちろん、裁判で懐事情の苦しい佐藤さんは中曽根派の議員に苦情を言うが「それだけは絶対に言わないように釘を刺しておいたんですが」と恐縮しきりだったそうだ

総理になった後の中曽根、深夜突然に佐藤さんの家に電話し「やりますよ、私はやりますよ」
それから度々電話が来るようになったが
田中が倒れてからは見舞いはおろか、ただの一度の電話もないそうだ

よっしゃ、よっしゃなんて言葉は越後の人は使いません

日中国交回復の時には右翼団体が毎日凄かったようですね
右翼の大物といえば
あ…(察し)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2016年7月16日
読了日 : 2016年7月16日
本棚登録日 : 2016年7月11日

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