「週刊文春」の怪 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋 (2001年1月10日発売)
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感想 : 8
5

世間にはびこる変な言葉遣いや漢字に物申すシリーズ。どの巻を読んでも、その深い見識に感心する。でもまあ。言葉遣いも漢字も難しいわ。
・「少年は社会を震撼とさせる事件を起こした」はおかしい。「何々を震撼する」と他動詞に用いる。
・遂の訓はツイ(和語)だが音はスイ。だから完遂はカンスイと読む。
・日本最初の女子留学生の5人の一人、津田梅子は、つだむめこであり、正しい発音はンメコ。留学から帰ってきて覚えていた日本語は「ねこ」だけだったそうだ。終生日本語が不自由だった。同じくアメリカ帰りの神田乃武がこの人に惚れ結婚を申し込んだがすげなくことわった。山川捨松は将軍大山巌の後妻となり、鹿鳴館の花と謳われた。写真が残っているが、たいへんな美人である。
・岸田劉生の父親の岸田吟香は、新聞の主筆、目薬の製造販売、大陸関係の事業にかかわったりしたが、日本で最初の英和・和英辞典を作り、さらに日本で最初の言文一致の文章を書いた。
・日本語においては、m音とn音とは近似しており、しばしば互換する。ミヤコドリ(都鳥は当て字)は「ミヤと鳴く小鳥」であり、ミヤは猫の鳴き声で、普通はニャンなのである。任那はニンナともミマナともいうし、壬生をミブともニブともいう。
・「たくさん」は、一つ、二つと数えていって、その集合としての数量だが、「多い」は、程度の大きさを全体的にとらえている。「本が多い」は「本がたくさん」と書き換えられるが、「人口が多い」は「たくさん」が使えない。
・明治41年の出歯亀事件の池田亀太郎は出っ歯ではなく出しゃばりで出歯亀といわれたらしい。殺人の方もどうも冤罪らしい。
・「年齢?女性に聞くなんて失礼なこと。外国では考えられない」の発言。こういう外国ありがたや教信者の外国は東南アジアもアフリカも入っていなくて、アメリカ・フランスあたりの2、3国だろう。イギリスでは女性は年齢を聞かれたがり、実際の年齢より若いのを誇るそうだ。
・愚妻というのは侮辱ではない。「愚」「拙」「僕」などを一人称というのは、西洋人の切り取り方で、日本人は大きく「こちらがわ」と「あちらがわ」と分ける。だから自分の会社を小社という。
・天声人語は「北海道旧土人保護法」に差別的な響きを読みとっているが、現在の物差しで昔の人間の用語に文句をつけてどうしようというのか。そもそも「土人」は差別的な言葉ではなく、地元の人間をそう言った。
・人類の日常生活の実在では、数は1から始まる。西暦紀元0年や0世紀はない。
・日本の英語教育には漢文の日本読みの影響が強かった。それによって日本の文化を作ってきた。英語を英語のままに理解するのはなかなか大変。
・還暦は満60歳とも誕生日とも関係ない。60年めの年が明ければ還暦なのである。「享年七十」と書くし、満でいえば69だろう。
・「全然」はもともと否定語と一緒には使ってなかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2021年2月28日
読了日 : 2021年2月28日
本棚登録日 : 2021年2月28日

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コメント 2件

トミーさんのコメント
2021/03/27

goya626さん

こんにちは!
先日のやりとりでわたくしは
同好の志とコメントしましたが
とんでもございません。

志ではなく、わたくしなどが足元にも及ばない方だと失礼なことを申し上げたと、反省しております。「師です。」
後をついて読書の道を行きたいと思っておりす。レビュー力がすごいです。
また、よみたい本を教えていただいてます。未読ですが。

goya626さんのコメント
2021/03/28

トミーさん
同好の志ですよ。読んだことを書いてるだけですものね。いろんな本を読み散らかしています。結構警察小説が好きなんですよ。実際に殺人事件なんかに出くわしたりしたら、恐れおののくでしょうにね。

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