笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE (講談社文庫)

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本棚登録 : 7373
レビュー : 696
著者 :
greenflashさん  未設定  読み終わった 

この作品は楽しかった。「すべてがFになる」と同様に。同じ余韻に浸ることができているので大満足。

2作目が楽しめなかった理由もはっきりとわかった。「冷たい密室と…」には、犀川と戦うに相応しい天才科学者が登場しなかった。ありふれた動機とありふれた殺人があるだけだったからだ。

「すべてがFになる」の真賀田四季も、この作品の天王寺翔蔵も、私たちの理解やカテゴライズを寄せつけない超人たち。ぎりぎり私たちの側に立ち位置を構え、もしも萌絵という存在や、彼自身の超速の人格を制御するもう一つの人格がなかったら、彼らと同じ世界に移動してしまうに違いない我らが英雄、犀川。犀川にとって、こちらの論理においては否定せざるを得ない彼ら超人たちの生き方や思考の世界は本来、逃れられない魅力に満ちているはずだ。

それゆえに危うい。この危うさがたまらない。いつか犀川が…ひとりの天才との戦いに敗れ、自らの人格を淘汰して、あちら側へ行ってしまうのではなかろうか。

萌絵の存在がなければ、このストーリーは危険すぎる。あちこちに刻まれた科学的な言葉、論理の切れ端、哲学的思惟の断片に、私自身もとりこまれてしまいそうになっている。

ちなみにオリオン像の謎はほぼ最初の段階で解けていた。しかしこれが本編の主題でない事は明白だ。

果たして…彼は3人のうちの誰なのか。それとも…。この大きな謎が残されていることが「F…」と同じ魔力で、読後も私の心を離さない。これは…まずい。

レビュー投稿日
2014年2月2日
読了日
2014年2月2日
本棚登録日
2014年2月2日
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