心星ひとつ みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 時代小説文庫)

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レビュー : 539
著者 :
greenflashさん  未設定  読み終わった 

最初からわかっていた。澪の心星がなんなのか。

澪の周りのあたたかい人たちは、澪の幸せを言葉にして願い、澪の背中を押す。
想い人もまた、「共に生きるなら、下がり眉がよい」と願う。

残酷だと思う。誰もが気づいていないのかもしれない。願うとは人を「縛る」ことになるのだということに。

澪は料理人として生きる。生きて生きて生き抜いてこそ、見える天がある。いつか野江と二人で見ると決めた蒼天が。あの天神橋の真ん中で。

それでこその雲外蒼天、旭日昇天。

澪は誰のためにでもない、自分の生き方を貫くだろう。

愚かに見えるかもしれない。だがきっと、あれやこれやに惑わされず、ただひとつのことに精進することで、澪は晴れやかな人生の先にたどり着けるのだと信じたい。

言霊は人を力づけ、またがんじがらめにもしてしまう。「祝う」も「呪う」も、言葉で祈り、まじなうという、行いとしては同じこと。

澪の心星。ただひとつ。まだ泣かずに…見届けたい。

そう思えば思うほど、野江ほどに澪を澪らしく生かそうとしている人はいないと、あらためて野江という人の気高い魂に頭が下がる。

とうとう歩き始めた。澪は澪として。

レビュー投稿日
2013年11月11日
読了日
2013年11月11日
本棚登録日
2013年10月21日
4
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