火星航路SOS (ハヤカワ文庫 SF ス 14-1)

  • 早川書房 (2006年3月1日発売)
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本棚登録 : 28
感想 : 4
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 「レンズマンシリーズ」の著者、ドク・スミスの長編。珍しくシリーズではない。
 1931年に書かれたという名実ともに古典だったりするので、コンピュータがなくて手動での軌道計算だったり、その計算機は巨大真空管で出来ていたりするのが笑えるが、そういう部分さえ気にしなければ、やっぱり面白い。一言で言えばサバイバルものというか、宇宙のロビンソンクルーソというか。
 何もない惑星で一から宇宙船をつくるというのは、エドモンド・ハミルトンのキャプテンフューチャーシリーズの中の一作「宇宙囚人船の反乱」にもあるテーマだが、書かれた時代の違いか(ハミルトンのほうが後発)、「宇宙囚人船〜」のほうが緻密な気がする。科学的な部分が今の我々の知識では「それはないだろ」と思ってしまうのが、「緻密でない」と思ってしまう原因のようにも思えるので、仕方ないんだろうなあ。ジュール・ヴェルヌやH・G・ウェルズの作品が軽めの児童小説のように思われてしまうのと同じ。
 が、それにもかかわらず、やっぱりドクの作品は面白いのであった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: [SF]小説
感想投稿日 : 2006年4月30日
読了日 : 2006年4月30日
本棚登録日 : 2006年4月30日

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