重力ピエロ

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本棚登録 : 11855
レビュー : 1606
著者 :
志賀多麻紀さん ミステリ   読み終わった 

春が二階から落ちてきた。

冒頭で心惹かれた人は多いのではないだろうか。初めて読んでから十年経つが、あの時の感動は未だ色あせず覚えている。今でこそエンターテイナーとして多くの人に読まれている伊坂幸太郎の代表作とも云える今作は、当時私は一番好きだった。読了した時に改めて、春が二階から落ちてきた、とそれを読むと鳥肌が立った。とりつかれたように伊坂さんが好きになったきっかけでもある。
父と兄と、母がレイプされて生まれた弟の、ミステリを交えた家族の物語と聞くと重たいようなイメージを持つが、そこは伊坂幸太郎の筆で実に軽快にそれこそ春のように爽やかに描かれる。論じていることは重たい議題のはずが、兄の視線によって描かれるそこには何よりも信じられる家族の形がある。むしろこの家族を信じられるからこそ、ミステリとしての芯が薄くてもこの小説を味わえるのだと思う。
今ではあれもこれも名作と読まれる伊坂さんだが、魔王が出る前の初期の中では一番の傑作と云える作品だと思う。

レビュー投稿日
2015年6月23日
読了日
-
本棚登録日
2012年1月29日
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