偶然の祝福 (角川文庫)

3.37
  • (104)
  • (217)
  • (553)
  • (66)
  • (6)
本棚登録 : 2038
レビュー : 278
著者 :
めえこさん ├小川洋子   読み終わった 

大分前に読んだので、粗筋をまとめる為にパラパラ読み直しました。相変わらずの、美しく優しい小川ワールド。もうこの方の作品は外れることないんじゃないかな。やっぱり大好きだなってことを改めて再確認。私、毎回ブクログで小川先生に告白してるわ(笑)。

連作小説って、視点を変えたりドンデン返しの要素が入ったり、なドラマ性を楽しめる類の性格だと思うんですが、やっぱり小川作品は一味違います。静謐です。単調です。それが良いのです。
章毎に主人公の過去のエピソードが語られるのですが、その内容がすごくファンタジックなのに、主人公の人生がリアルに肉付けされていく感覚がとても心地良い。生々しい人間の人生を見せられているのではなくて、飽くまでも“ファンタジーな世界のキャラクタ”が、章を読み進むに連れてリアルさをまとっていく描写が、最後までそのファンタジー性を失わずに描かれています。


何でこんなに心地良いんだろう?
何作読んでも、これほど惹かれる要因が、世界観なのか言葉の綴り方なのかそれ以外の物なのか分からないなー。好きなら好きでいいじゃん、で済ませばいいんですが、何でこんなにドンピシャな所を毎回突かれるのか、気になるんですよね…。いくら好きな作家
って言っても、お気に入りとそうでない作品って出てくるものなのに、小川作品に限ってはそれがないからなあ。不思議だ。


◎失踪者たちの王国…私の隣には、いつも失踪者の影があった。何の前触れもなく、彼らは静かに行方をくらます。そして私は、彼らの記憶の依り代である乳歯や傷跡や嘔吐袋に、思い出を蘇らせるのだ。

◎盗作…弟が死んでから、私達家族の日常は崩壊した。アパートを追い出され、恋人は横領容疑で逮捕され、交通事故の後遺症で病院通い。そんな惨めな日々を送る私の前に、ある日一人の女性が現れた。彼女はやがて、自身の弟に起こった不思議な体験を話し始めたが…。

◎キリコさんの失敗…お手伝いさんのキリコさんは、なくし物を取り戻す名人だった。私が困っているとたちまち解決してしまう魔法使いのような彼女が最後に見せてくれたのは、大きな代償を払った素敵な贈り物だった。

◎エーデルワイス…コートやズボンの内側に私の著作を縫い付けた男は、自分が死んだ弟だと奇妙な主張を繰り返す。私の本をこよなく愛し、生活圏に気づけば不意に佇む奇妙な男との交流。

◎涙腺水晶結石症…愛犬、アポロが病気になった。

◎時計工場…小説を書いている時、私の心は時計工場にいる。物語を構築する作業は、時計を作る作業に似ている。

◎蘇生…ある朝起きると、声が出なくなっていた。治療に訪れた病院での、アナスタシアを名乗る老女との奇妙な交流。

レビュー投稿日
2013年3月1日
読了日
2013年3月1日
本棚登録日
2013年3月1日
2
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『偶然の祝福 (角川文庫)』のレビューをもっとみる

『偶然の祝福 (角川文庫)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

『偶然の祝福 (角川文庫)』にめえこさんがつけたタグ

いいね!してくれた人

ツイートする