匣の中の失楽 (講談社ノベルス)

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本棚登録 : 818
レビュー : 89
著者 :
めえこさん ●推理小説(国内)   読み終わった 

※ネタバレ甚だしいのでお気をつけ下さい(°_°)

「あれ、どっちの世界であの人死んだんだっけ?」と何度ページを前に繰り戻したことでしょう。
本作は奇数章と偶数章が入れ子構造になっており、「どちらが現実でどちらが虚構(小説)なのか」と読者を攪乱させる手法が取られています。そして、最後まで読んでも、結局どちらが現実世界なのか分からない\(^o^)/

作品中、キャラクタにも「もし僕達の物語を読んでる読者がいれば、どっちが現実か分からないかもね」とメタ発言をさせていますが、精査すれば指摘できるものなのかしら…再読の機会があれば、奇数章と偶数章をそれぞれ分けて読んでみたいなあ。

それぞれの章で発生する殺人の不可能性はもちろん、友人が亡くなったにも関わらず己の専門知識フル稼働で真相指摘を試みる学生達の衒学主義も最高にパンチが効いています。これぞ非人間的作品との誹りを受けるに値する王道本格推理小説!(笑)

かといって、友の死体を尻目に真相に向かって推理を着実に展開しているかというとそうでもありません。キャラ達がそれぞれの専門領域を無理くり適用させて不可解現象を説明して(ここの内容も合理的とは言えないし非現実的…)、皆で「フフン、それはないね」と論破する、の繰り返し。(本筋とは関係ないけど、「フフン」「ははあ」「あっはあ」って感嘆詞?が出る度に、時代を感じてニヤついてしまいました(^o^)

ただ、この作品は「私達読者がトリックを推理し、真犯人を指摘して楽しむ」ものではありません。
「小説内現実」と「小説内虚構」のキャラ達が織り成す衒学趣味的推理と虚実入り混じる酩酊感に浸る、それに尽きるような気がします。

終わらない不連続性。繰り返し姿を現す逆様(さかしま)の月。ところが、プロローグとエピローグの情景描写は一転、不気味な連続性を暗示しています。
読後、思わずプロローグを再度通読してしまった私は、きっと作者の仕掛けた匣の中に閉じ込められてしまったのでしょう…。


たーのしー\(^o^)/←←←


探偵小説愛好家メンバーの一人が、奇妙な密室状況で殺害された。メンバーの一人であるナイルズは、自分が書いている実名小説の予言が現実になったのではないかと不安を覚えるが…。

レビュー投稿日
2014年3月1日
読了日
2014年3月1日
本棚登録日
2014年3月1日
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