人質の朗読会

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本棚登録 : 3005
レビュー : 620
著者 :
めえこさん ├小川洋子   読み終わった 

死は決してその人の人生を支配することはないんだなあ。と、本を閉じた後に涙が零れました。
幕引きではあっても、それがどんなに悲劇的なものであっても、その人が着実に歩んできた道のりを一変に変える力はないんだなあ。それって、ものすごい、救済ってやつじゃないだろーか。

今作品の語り部である人々の、悲劇的な死が語られるプロローグ。その後に続く8人の物語を読み終わった後の率直な意見です。「どんなに悲劇的な死であろうとも、その人の人生を悲劇と決定付けるものではない」。

反政府ゲリラに人質に取られ、救出作戦が失敗して犠牲となった人々。
彼らが人質として捉えられていた間、緊張の中の退屈を紛らわす為に語られた、それぞれのちょっと不思議な体験談、という体裁を取った短編集です。
取り立ててドラマチックでもない、日常の中にスルッと慎ましやかに差し挟まれた、ちょっぴり不思議な体験。
彼等が確かに生きた証がこんな形で残ってくれたことを、フィクションだというのにとても尊く感じてしまったのでした。うーん、不思議だなあ。

小川先生、やっぱ好きだなあ←結局今回も告白するー(笑)


今回は帯の惹句が素敵だったので、そのまま引用しました↓↓

遠く隔絶された場所から、彼らの声は届いた。紙をめくる音、咳払い、慎み深い拍手で朗読会が始まる。祈りにも似たその行為に耳を澄ませるのは、人質たちと見張り役の犯人、そして……。
しみじみと深く胸を打つ、小川洋子ならではの小説世界。

レビュー投稿日
2014年4月9日
読了日
2014年4月9日
本棚登録日
2014年4月9日
6
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