5G 大容量・低遅延・多接続のしくみ (ブルーバックス)

  • 講談社 (2020年7月16日発売)
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感想 : 30
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無線通信技術の発展の歴史と技術の解説をしている本。1Gから5Gの特徴を取り上げ、当時の社会の反響なども取り上げている。

最近5Gという言葉をよく耳にするため、詳しく知りたいと思いこの本を手に取った。その判断は正解で、通信技術をめぐるニュース(Huaweiと欧米企業との開発競争など)の思惑や、Iotがもたらす社会の変化などがよく分かったからだ。
なによりも興味深かったのは6章の内容である。5Gを取り巻く変化によるリスクについて書かれたものだが、それは監視社会が進行するということである。
Iotによるセンサーの増加によって、一個人の身体感覚は大きく拡張される。それはIotの恩恵ともいえる一方、世界中に張り巡らされたセンサーによって個人のデータが明らかにされ、サービス提供者である企業に管理されていく。そんな、監視社会が進みつつあると著者は警鐘を鳴らす。しかし、「1984」や「ブレードランナー」の描いた世界のようにはならなかった。「現実に展開されている監視網は、もっとずっと紳士的」p214なのだ。

このように本書は単なる通信技術解説のみならず、これからの未来のビジョンを示したといえる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年5月11日
読了日 : 2021年5月9日
本棚登録日 : 2021年4月29日

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