ある男 (文春文庫 ひ 19-3)

著者 :
  • 文藝春秋 (2021年9月1日発売)
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ノンストップで読まされました。
他のことが何も手につかなくなるくらい、夢中になって読書したのは久しぶりかもしれないです。

林業に携わる夫・谷口大祐が事故死し、残された子供と共に悲しみに暮れる里枝。
夫が絶縁していた谷口家に初めて連絡をとったところ、死んだ夫は「谷口大祐」ではなく、「谷口大祐」の名を語っていただけの全くの別人であったことが判明する。
里枝が愛した夫は、一体どこの誰だったのか…。
里枝から依頼を受けた弁護士の城戸は、「戸籍交換」という闇の世界を知り、「自分を捨てて他人になる」ことの意義について深く考えることになるー。


愛にとって、過去とは何か、、、

自分の生い立ちや過去が、今の自分を形成しているのは間違いないと思います。
しかし、「自分のままであり続ける」という単純なことが、その人を傷付け、ごく小さな幸せを掴むことすら阻害してしまうことがある。
真っ当に、真正直に生きていくだけが人生じゃない。どうしてもしんどくなった時には、逃げ道を作っても良いんじゃないか。
そんなことを、初めて考えさせられました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年11月28日
読了日 : 2021年11月24日
本棚登録日 : 2021年11月24日

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