バーデンハイム1939

  • みすず書房 (1996年11月23日発売)
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感想 : 6
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 ナチスによるユダヤ人迫害を書いた本はいろいろありますが、この小説はその中でも異色の作品です。舞台はウィーンに近い架空の保養地バーデンハイム。この町のユダヤ人たちが、じわじわと行動を規制されていき、最後に強制移送される様子が描かれているのですが、当のユダヤ人たちは自分たちの身に何が起こっているのか全く気づかないのです。正しい情報をえるすべもなく、何が何だかよくわからない状態のまま、ナチスの手におちていくユダヤ人たちの様子が、淡々と描かれているがゆえにおそろしくリアルで、読み終わったあとで彼らのその後の運命を思うと、背筋に寒気が走ります。ユダヤ人迫害についてだけではなく、国家による情報操作の恐ろしさをひしひしと感じる作品です。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 一般小説
感想投稿日 : 2005年7月4日
本棚登録日 : 2005年7月4日

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