007 白紙委任状

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本棚登録 : 617
レビュー : 128
制作 : 池田 真紀子 
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21世紀に蘇ったNewボンドの肩書きは、英国企業の海外進出や投資を支援する政府機関ODGのセキュリティ・アナリスト。ODGは9.11同時多発テロを受けてMが新設した情報機関で、MI5やMI6と連携し国内外で特殊工作を行っている。
タイトルにもなっている白紙委任状とは、海外においてのボンドの権限。お役所的縄張り争いのため、ODGはイギリス国内では管轄権を持たない。
イギリス国内での大規模テロを匂わせるメールを傍受したボンドは、その待ち合わせ場所であるセルビアに向かう。メールの送信者を事前に捕まえることができれば、テロ計画の詳細をつきとめ、未然に防ぐことができるかもしれない。だが、その男は巧みにボンドの追跡を逃れ、イギリス国内に戻ってきた。ボンドのミッション上の権限、白紙委任状が唯一及ばない国内に。

ディーヴァーらしい癖の強いキャラクターが光る。
黄ばんだ爪を長く延ばした悪役セヴェラン・ハントは、「世界で一番リッチなくず屋」。廃棄物処理業者の彼は死と衰亡に魅入られている。65歳のガールフレンドの目尻に新しい皺ができるのを喜びをもって見つめ、化粧することを許ず、その衰えた肌を昼間の光にさらさせてセックスを楽しむ。

今回のボンドガールも二人だ。南アで飢餓対策のNGOの代表をしている魅力的な女性フェリシティ・ウィリングと南ア警察のベッカ・ジョルダーン警部。ジョルダーン警部は、生来の生真面目さとボンドが初対面のとき好色な目でみたことも手伝って、彼に対し無愛想で冷たくさえある。フェリシティはWillingという名の通り、”意欲に満ちている”。
二人とも一筋縄ではいかないが、これは読んでのお楽しみ。

セルビア、ドバイ、南アフリカとグローバル化した現代のふさわしく舞台は移動を続け、ストーリーはスピードをもってうねり、急展開する。ディーヴァーなので、もちろんどんでん返しも勿論あり。
日本語版では前作にあたるキャサリン・ダンス シリーズの『ロードサイド・クロス』でも、ネット社会の闇を描きだしたが、今回はゴミ問題とアフリカの飢餓問題を取り上げる。つい先日世界の人口は71億を突破し、食料危機が話題にのぼったばかりだが、この時代感はさすがディーヴァーだと思う。

ディーヴァーのミステリとしては、あの「007という制約」がある分、辛い点がつけられるかもしれない。
だが、エンタメ性は抜群なのではないだろうか。
新しいカクテルも、Qによるガジェットも楽しい。
http://spenth.blog111.fc2.com/blog-entry-153.html

レビュー投稿日
2012年3月24日
読了日
2011年11月10日
本棚登録日
2012年3月24日
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