なごり歌

著者 :
  • 新潮社 (2013年6月28日発売)
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本棚登録 : 234
感想 : 57
4

『かたみ歌』の続編かな。最初の話で「アカシヤ商店街」が出てきて懐かしかったです。
昭和40年頃、東京郊外にできた巨大団地群。そこに住むことが当時の人々のステータスであった時代。
昭和ノスタルジーのストーリーテラー、朱川湊人さん健在です。
雷獣をはじめとする不思議を絡め、各短篇も見事に登場人物が絡み、読んでいて楽しかったです。
あえて難を言うなら、昭和ノスタルジーを語りすぎてしまったかな。ご自身の思い出、懐かしいキーワードを並べすぎた印象が。あと、男性作家さんの描く女性の典型的な理想像の登場人物ばかりなのも少々辟易しました。描かれた時代のせいもあるのかな。
森沢氏、川辺氏、菊谷氏がキーパーソン。
◆遠くの友だち
団地に住むことになり、転校してきた裕樹。遊び友達もおらず孤独を募らせた時に現れた、新しい友達。その正体は…。
◆秋に来た男
9回目の見合いをようやく実らせた仁志。そんな彼の元にある日、妻を返して欲しいと一人の男がやって来る。
◆バタークリームと三億円
才色兼備のマリアが自殺したのは、三億円強奪事件の日。従姉妹で専業主婦の路子は、彼女を苦々しく回想する。そんなある日…。
◆レイラの研究
名探偵ホームズを読んで以来、探偵きどりの良輔は、同級生の澄川怜子に想いを寄せるが、学校や近所での彼女のたいどは横暴極まりないものだった。なぜ…。
◆ゆうらり飛行機
歩くほどのスピードでゆっくり飛ぶ飛行機を作る森沢氏。幼子を亡くした杉下の心がほぐれてゆく。
◆今は寂しい道
今は亡き妻に宛ててかいている日記。雷獣を拾い、世話することに。
◆そら色のマリア
マリアは他殺だった…。その真相が明らかになる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 9類
感想投稿日 : 2013年9月22日
読了日 : 2013年9月22日
本棚登録日 : 2013年9月7日

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