日本のいちばん長い日 決定版 (文春文庫)

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本棚登録 : 1405
レビュー : 160
著者 :
halkotaniさん 歴史   読み終わった 

ポツダム宣言を受け入れて、玉音放送を実行するまでの一日を関係者の証言に基づき再現したドキュメント。
終戦と言えば8月15日の玉音放送が思い浮かぶが、実際に放送されるまでの薄氷を渡るような状況がひしひしと伝わってくる。
陛下にご聖断を頂き、宣言受け入れを決断するまでの大臣たちの葛藤は、当時の上層部がどれだけ苦しい思いをして、ここに至ったかを忍ばせる。
例え聖断といえども受け入れられず、クーデター蹶起に走った若い将校たちからは、戦前から刷り込まれてきた軍国教育の真髄というか、本質が溢れだす。
軍国主義に則って教育された若者たちが暴走する姿は、日本人という民族には例外的な卓越があるなどという戯けた考えを叩き込まれただけではなく、命令服従という軍として成立させる最低限のことさえも教え込めてなかったという事実を改めて浮き彫りにしている。
最後に責任を取って自刃する多くの軍人たちは、そのことにも責任を感じていたのだろうか。

それにしても一つ、何かがずれていたら玉音放送は実現できなかったということには、冷や汗を流さざるを得ない。
そんな小さなズレだけで、日本の歴史は大きく変わっていたかもしれないのだ。
革命ではなく大改革だったとも評される明治維新では成し遂げられなかった日本の変化は、本当に長かったこの一日でようやく一歩が踏み出されたことを実感させられる渾身のドキュメンタリーだった。

レビュー投稿日
2015年10月10日
読了日
2015年10月9日
本棚登録日
2015年10月9日
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