稼ぐ力を取り戻せ!―日本のモノづくり復活の処方箋

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レビュー : 13
著者 :
halkotaniさん ビジネス   読み終わった 

企業再生で幾つもの成果を上げてきた経営共創基盤CEOの冨山氏には共感する部分も多く、以前より著書を読んだり講演を聞きに行ったりしてきた。
本著は「日本のモノづくり復活の処方箋」との副題で著した日本製造業への提言の書である。

述べてる内容は極めてオーソドックスで、第一章の「陥りがちな五つの罠」では様々なところで散々言われてきた内容を取り上げている。
・すり合わせの呪縛
・ボトムアップ型の決められない経営
・現状延長のモノづくり
・本国中心の大本営型オペレーション
・部門内タコツボ化
耳が痛くなるほど聞かされてきた内容であり、日常の仕事の上でも悩まされる問題でもあり、新しい気付きは特になく納得する内容。

サービス型モデルのビジネスにおける情報の非対称性の重要さに触れている部分は、ハッとさせられた。
確かにその通りだと思う。
いわゆる箱モノ製造業では、作るものがマネられてしまえばコスト競争に陥るしか無いが、アフターやモノの使い方のコンサルから価値を引き出そうとすれば、他にはマネの出来ない内容を提供できる。
それこそが情報の非対称性、そのビジネスを提供している企業固有の経験からくるものとして成り立たせやすいはず。
この観点はもっと意識していって良いはずだ。

処方箋を提案している三つの章では、①見える化、②標準化、③つなぐ化の重要性を取り上げている。
言っていることはよく理解できる。
その通りだと思うのだが、実際に実行しようと思うとこれが本当に難しいというのが、自身の経験に照らしあわせても実感として理解できる。

見える化:
企業の利益、コストを「組織」「事業・製品」「顧客」「エリア」「時間」別に集計して、業績を分析できるようにすること。

標準化:
管理部門、設計プロセス、部品の標準化を進めて、部門の壁を乗り越えること。
さらには企業をも越えた標準化を進めることで、下請けまで含めたバリューチェーンの最適化につなげることが出来る。

つなぐ化:
製品を企画から売出まで持っていくためのプロセスをつなぐためのプロデューサー的な役割を、個人あるいはチームに持たせること。
如何にシーズとニーズをつなげるのかが肝要。

そして最後に日本企業がモノづくりを復活させて再成長させるモデルとしての提案が以下。
①集団的な経験蓄積力で戦え
日本の強みでもある摺り合わせ、即ち蓄積経験力の生きる「熱」と「エネルギー」の分野のモノづくりを活かせ
②「和魂洋才」でダントツ領域に集中せよ
③Small But Global NO.1を目指せ
④中小企業よ、「超」下請けを目指せ
日本の強みでもある下請け企業が、その強さを活かして一企業ではなく幅広い企業の下請けとなること
⑤顧客密着力とクイック・レスポンスで戦え
⑥日本型モノづくりベンチャーを創出せよ

どれも現実を的確に踏まえた提言であり、納得感が高い。

斬新な分析や提言を唱えているわけでもなく、読んでいて高揚感が湧き上がる内容ではないのだが、現場の経験や事実に則った話であるために耳が痛かったり納得して共感できる部分が多い。
実際に再生する企業の現場にどっぷりと入り込んで、立て直しに奔走してきた冨山氏ならではの日本再生論である。
本書の主張をどれだけ遂行できるのか、が日本製造業の復活の道であることは間違いない。

レビュー投稿日
2013年10月6日
読了日
2013年10月2日
本棚登録日
2013年10月2日
0
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