収録作
「限りなき夏」
「青ざめた逍遥」
「逃走」
「リアルタイム・ワールド」
「赤道の時」
「火葬」
「奇跡の石塚(ケルン)」
「ディスチャージ」
表題作は『20世紀SF』で同じく古沢嘉通が訳したものを読んでいたけど、相変わらずの名作っぷり。最後のヴィジョンは頭にこびりついている。
どこか迂遠していく描写や展開、遠まわしな会話、現実感の消失といった特徴が、作品にとって面白く読めるときもあれば、読むのがだるくなってしまうときもあったので個人的にはバラつきの多い短編集。
また、他にも特徴として、何らかの誘惑とそれに対する大きく揺れ動く気持ち、そして選択、というのが何度も登場していて、その部分の描き方が非常に独特で上手い。読んでいて、だいぶ引っ張られてしまった。持ち味ってやつなのか。
「限りなき夏」はもちろんだけど、「奇跡の石塚」が好み。
ありきたり云々なんて批判はプリーストには通じないのではないか。至るまでの過程と至ってからの効果が、濃密に描写されていて、物語が語る意味の上でも不可欠だと思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2012年10月26日
- 読了日 : 2012年10月26日
- 本棚登録日 : 2012年10月26日
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