新型コロナウイルス以前から、日本の感染症数理モデルの第一人者として西浦先生は存じ上げており、本書以外での西浦先生の情報発信も常に真摯で未来志向だと感じていた。
本書はクラスター対策班をはじめとした日本の新型コロナウイルス対策について、西浦先生の目線で綴られている。かなり率直に、実名を含めてそのまま書かれている(特に元上司の方や大阪のくだり。)
感染症・公衆衛生関係者は必読で、その他の方も報道の裏で何があったのか知ることができる一冊。
また、「あの時何があったのか」だけでなく、何が問題でどうすればいいのかということを考えさせられる。個人的には、
・リーダーシップ育成を含めた人材確保(ポジション、待遇の改善を含む)
・内外のコミュニケーションチャネルの確立
・緊急時の指揮系統と責任所在の明確化(各専門家と政治の関係を含む)
あたりが重要なのではないかと感じた。
今回のパンデミックにおいて、西浦先生とそのチームが日本にいらっしゃったこと(もちろんその種も西浦先生が蒔いておられる)、数理モデルが政策提言に繋がり、広く知られるようになったことは日本が得た財産の一つだろう。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年12月13日
- 読了日 : 2020年12月13日
- 本棚登録日 : 2020年12月12日
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