ヒロシマの嘘: 写らなかった戦後

著者 :
  • 現代人文社 (2003年7月1日発売)
4.50
  • (5)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 57
感想 : 8
3

菊次郎さんの静かな強い怒りが伝わってきた。

メモ::

長崎の「岡まさはる平和資料館」へ行ってみたい。p192

医師:誠意には感謝するが、千羽鶴は埃がたまって病室の衛生管理に困っている。捨てるわけにもいかない・・ p208

広島の被爆者が自分の不運をあきらめて生きているのに比べ、キリスト教の伝統を守って生きている長崎の被爆者は前向きに生きていた。p215

基町に対する住民差別は執拗で、広島市は住民がいくら陳情してもついに上水道も下水道もつくらなかった。p223

基町住民を差別し続けた平和都市(広島)。ただひとつ爽やかな思い出は、原爆スラムの日本人たちが、行き場のない朝鮮人のために、新しくできたアパートに入居できるよう最後まで行政に交渉し続けてから引っ越したことだった。p225

日本人は広島をいまも「平和都市」と呼ぶ。だが「過ちは繰り返しませぬから」と誓った民族の悲願を反古にしたうえ、被曝後半世紀過ぎても不治のままの放射能障害から一人の被爆者の死も救えず、米軍(ABCC)にモルモットとして被爆者を提供し続けている街がどうして平和の象徴なのだろうか。鳩が飛び、プラスチックで固形した負の残骸である原爆ドームがある「平和公園」があるから平和都市なのか。平和大橋があり、平和大通りがあり、街中に「平和」が氾濫しているから平和都市なのか。そうでなければ、平和の所在を示す確かな証しは広島のどこにあるのか。p391

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 震災・放射能・核
感想投稿日 : 2014年4月18日
読了日 : 2014年4月18日
本棚登録日 : 2014年4月17日

みんなの感想をみる

ツイートする