くつくつあるけ―くつくつあるけのほん1 (福音館 あかちゃんの絵本)

著者 :
  • 福音館書店 (1986年6月20日発売)
3.50
  • (81)
  • (103)
  • (210)
  • (31)
  • (8)
本棚登録 : 2721
感想 : 147
5

出産を報告すると、数名の方から「うちの子がすごく好きだったのよ」との頼もしい言葉とともに絵本をいただきました。
「おつきさまこんばんは」もそんなご縁があってやってきた絵本なのですが、うちの子がすごく好きになる前に親がすごく好きになってしまいました。どうしてもシリーズを箱入りで揃えたくなって買ってきた(だから「おつきさまこんばんは」は2冊あります)のですが、この「くつくつあるけ」はそのシリーズの一冊です。

腰がすわったころから膝に乗せて読み聞かせていました。最初はきょとんとしているだけ、そのうちページをめくるのを楽しむようになりました(電子書籍ではできない楽しみ方です!)が、内容には反応なし。それが、1歳前くらいからは読み聞かせ方をダイナミックにしたこともあって、うれしそうな顔をするようになりました。
…ダイナミックな読み聞かせ、というと、この本だと、「あぶなーい」のところで膝に乗せた子供と一緒に横に倒れ、「ひとりでおきるよ」のところで一緒に起き上がるという、読み聞かせというよりほぼ一緒に遊んでいる状態なのですけれどw。

前後して顔を顔と認識するようになりました。ラフなイラストでも丸の中に点が2つあると顔だと思うみたいです。で、そうなると、シリーズ4冊のうち顔が出てこないのはこの1冊だけなので、もしかしてほかの3冊に比べて興味が薄れるかも、と想像していましたが、なぜか4冊中一番のお気に入りのようです。

最近、久しぶりに引っ張り出して読んでやりました。昔読み聞かせてもらった記憶はすでに薄れているようでしたが、往時は全くなかった集中力を発揮して、最初から最後まで真剣に聞き入ってくれました。いずれ「もうつまんない」って言い出すでしょうけれど、もう少しだけは現役でいてもらえそうです。この本に思い入れがある自分としてはちょっとホッとしました。

ところで、ベビー用品や子供服の中で、靴って卑怯なほどかわいいと思いませんか?人にあげたり処分をしてしまったりしたものもある中、靴だけは一足残らず保管してあります。

「同じ形をしているのにびっくりするほど小さい」ものはこんなにかわいいんだなあとしみじみ思います。
さらに、形だけにとどまらず、一人で立ち歩くようになった日の思い出をそこに親が重ねるからこそ子供の靴は愛おしく、だから乳幼児向けのコンテンツには靴がよく出てくるのではありますまいか。(例えばNHKの「いないいないばあ」には「クックー」なる靴の妖精が登場します。「オマルン」やら「ベンキー」やら「ハミガキマン」やらの大人社会の都合、トレーニングの観点から選ばれているであろう他のキャラクターの中で、クックーと彼らが主人公の歌「 クックトコクックー」には教育臭を感じません。)

そしてこの「くつくつあるけ」。子供は靴が一人で(一組で、ですね)お散歩に出る話だと感じている(んだろうと想像しています)一方、親は当然子供の姿を重ねています。そのものの形が可愛い子供の靴に、自らの子供の思い出を重ねているのですから、それは卑怯なほど可愛く思えて当然です。

加えて読み聞かせたときの思い出、さらに、箱には子供が齧ってつけた跡が残っているこのシリーズ、到底捨てたり人にあげたりはできそうにありません…。大切に保管しておいて、子供に子供ができたとき、お祝いとして渡してやろうかしら。「うちの子がすごく好きだったのよ」の言葉を添えて。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 林明子
感想投稿日 : 2019年5月16日
読了日 : 2019年5月16日
本棚登録日 : 2015年2月16日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする