おつきさまこんばんは―くつくつあるけのほん4 (福音館 あかちゃんの絵本)

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本棚登録 : 3025
レビュー : 407
著者 :
hanemitsuruさん 林明子   読み終わった 

妊娠・出産が知られると、いろいろな人から(報告した人からも、人伝に聞きつけた人からも、そう言えば役所からも)便利だったもの、役に立ったもの、便利そうだけど実はそれほどでもなかったものを教えてもらい、そのうちの何人かからは実際にプレゼントしていただきました。

「社会」というものとあまり上手に付き合えていた自覚がなかった自分にとって、「子供」ができた瞬間から社会のほうが怒涛の歩み寄りを見せてくるさまはとても新鮮でした。かつて「プロチチ」でアスペルガーの父である直が声をかけられる描写を読んで(https://booklog.jp/users/hanemitsuru/archives/1/406352390X)からぼんやり思っていましたが、みんな良くも悪くも子供連れにはおせっかいを焼きたくなるんだなあと、ちょっとだけおかしくなったものです。

プレゼントの中には絵本もありました。
「うちの子がすごく好きだったのよ」との頼もしい言葉とともにうちにやってきた絵本達。はじめて目にするものも、うっすらと自分が子供のとき読んだ記憶のあるものも。この「おつきさまこんばんは」もそんなご縁があってやってきた絵本の1冊です。

絵本の出番は、子供(というか、まだ「赤ちゃん」って言葉が使えるくらい)が安定して膝の上や胡坐の中に座っていられるようになり、描かれている顔をちゃんと顔だとわかるようになった頃から。
何冊もあったわけではない絵本を、時に寝かしつけの前に、時に親が子供を構いたくなったときに、繰り返し(文章を全て覚えこんでしまうほど繰り返し)読み聞かせているうちに、「うちの子がすごく好き」になる前に親のほうがすごく好きになってしまいました。
調べてみると、「おつきさまこんばんは」を含んだ4冊が箱入りで発売されているとか。無性に箱入りで揃えたくなって買ってきてしまいました。だから「おつきさまこんばんは」は家に2冊あります。

おつきさまとくもさん以外の登場人(猫)物、そしてお家などは全てシルエットで描かれています。さらに、登場人(猫)物のうち1匹は最初から屋根の上にいるのではなく、扉のページから登場するとか、最後になっておつきさまやくもさん、猫たちに声を当てていたと思しきお母さんと子供が登場するとか、大人の目で見るとこれだけの単純そうなお話の中になかなか凝った演出がされています。そして、そんな控えめな、やや抑え気味な演出を一発でひっくり返す、裏表紙のお月様の顔!

自分ひとりのときにゆっくりと開いて読んでみて、こんな限られた紙数、わずかな文字数でちゃんとストーリーがあることに改めて感嘆します。
さらに、おつきさまのおかおが見えなくなった原因のくもさんも、邪魔者、悪者で終わっていない、ちょっとおつきさまとおはなししていただけという、くもさんにも優しい世界なのが好きです。本文の語りは、きっとお母さんから子供に向けたもの。ですから、この優しさはきっとお母さんの優しさです。

読み聞かされる側には、ひととおり読み聞かせ終わった後、本を閉じ、表紙を見せて「おつきさまこんばんはー」でくるっと表裏をひっくり返して「べ~~~~~」。これがウケました。エンドレスでやらされたものです。
先日久しぶりに読み聞かせたときも、表紙を見るなり自分で表裏ひっくり返して「べ~~~~~」とやってくれました。内容はともかく、どうやって遊ぶ本だったかはしっかり覚えてくれていたようで、数限りなく読み聞かせていた側としてはとてもうれしくなりました。

膝の上に乗せられて、絵本を読んでもらった記憶っていつまで覚えていてくれるのかな。もしいつか、子供に子供が生まれたら、この本を「べ~~~~~」って読み聞かせてあげてくれるかな。

レビュー投稿日
2019年6月6日
読了日
2019年6月6日
本棚登録日
2015年2月16日
5
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