半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)

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本棚登録 : 2884
レビュー : 219
著者 :
hannah1229さん  未設定  読み終わった 

一言で言えば、村上龍っぽくなかった。
ほとんど福井晴敏の『亡国のイージス』とかぶるくらい、単に少数のヒーローが日本を救いました、的な冒険小説になってるようにも読める。

卑屈で鈍くさいマジョリティが、危機的状況に直面してもいつまでも動かないから、マイノリティが暴れてなんとかする、という構図は『愛と幻想のファシズム』『希望の国のエクソダス』と共通する。

けれど、前2作と決定的に違うのは、今回は危機からは救われても、卑屈で鈍くさいマジョリティは大して動じない。
前2作では日本自体もめちゃくちゃになってた。少数者たちは日本を救おうなんて微塵も思わないし、外部からやってくる危機と先を争うように、毎回食い散らかしてばかりだった。

でも今回は少数者は危機をやっつけただけで、それが終わったからといって日本を救いも食い散らかしもしない。
だいたい「危機」も弱りきった北朝鮮によってもたらされたものだし、世界経済もむちゃくちゃだし、この世界の設定ではもう誰も元気じゃない。
きっと村上龍も、前2作ほど経済的な動向が描けなくて、それでこうなったんだと思う。「その後の人々」は書けても、「その後の日本」「その後の世界」は書けなかったんだろう。

だから、村上龍っぽくない。別にいい意味でも悪い意味でもない。うっすら怖くはあるけれど。

レビュー投稿日
2010年11月13日
読了日
2008年5月20日
本棚登録日
2010年11月13日
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