ホンモノの敬語 (角川oneテーマ21 B 58)

著者 :
  • KADOKAWA (2004年5月1日発売)
3.00
  • (0)
  • (3)
  • (11)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 34
感想 : 6
3

会社の人が買ってきた社内用の本を拝借して読んでみました。日本語の中でも特に使い方が難しいというか適当な言葉を適所で使えないっていう感じを第一に受ける敬語。

その意味を時には正当な見方から、また時には意外な視点から説明してくれています。現代の若者がかなり離れた初対面の人にも、話しているうちに「です」や「ます」などを使わなくなり、「でしょ」?などの砕けた表現を使うようになるのも今の若者の特徴だといいます。なるほどな〜、と思わされるところはとても多いのです。

お湯を沸かす、おにぎりを握るっていう表現が普通に使われているけれども分解して考えてみれば多重表現であるっていう学術的な研究が要素として含まれている部分はあるんだけれども、それも日本語の不思議さと難しさを知る上での良い例ですね。

特にこの本をひきつけるのは、本の巻頭部分にある敬語に含まれている意味合いの説明です。敬語の「敬」の字が尊敬の意味ではなくて、敬遠の「敬」だという表現にドキッとした覚えがありますね。思えば、上下関係や初対面であることなどを考えれば自然と敬語が出てくるのは、相手との距離を保っておきたいからという心理的作用の表れっていう見方は、新たな発見でした。

そういえば、わけのわからないセールスの電話がかかってきたりすると、相手のぶしつけな態度にいらいらせずにず〜っと丁重な断りをしている自分がいるのを思い出したりもするんですよね。親しくなればなるほど、年齢や立場を気にしないで敬語をうまくはずしていける。尊敬の意味をこめた敬語と、敬遠の意味をこめた敬語を使い分けることが大人の言葉の使い方なのかなとか、ってこの本を読んで思いました。

敬語がどうにも難しくて、でも自分の喋っている言葉が正しいのかどうかちょっと気になっている人には、ぜひ読んでもらいたい本です。どこかの番組じゃないですけれども、へ〜って相づち打つことは多いと思いますし、なるほど!って言える明快な答えを見つけられることもあるかもしれません。

不思議な部分が解決される面で良いですけれども、確実にこの本で敬語の使い方があがるかというと実践での効果はあまり望めそうにないので星は3つにします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2008年3月16日
読了日 : 2008年3月16日
本棚登録日 : 2008年3月16日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする