カナダの教訓 超大国に屈しない外交 (PHP文庫)

著者 :
  • PHP研究所 (2013年1月4日発売)
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カナダの教訓
超大国に屈しない外交

「日本外交の目指すべき道が見えてくる。」
「国力は10分の1以下。それでもアメリカの言いなりはならない」とのキャッチフレーズがつけられているが、本書は単に外交だけでなく、
「圧倒的なパワーに対峙する際の個人としての身の処し方」という点でも大いに示唆的。

「都合の悪い正論は、圧力をかけて黙らせる」というのが強者アメリカの姿勢。
それに対し、盲従ではなく、
「多少のコスト負担に妥協はしながらも、自己の信念を貫徹する」のがカナダの姿勢。貫徹の姿勢をブレずに堅持すれば、それに敬意を払う良識派が、必ずアメリカの中から出てきて、力を恃んだ暴走にブレーキをかける作用をする。逆に、何に対しても無定見に盲従する者が得るのは侮辱でしかない。カナダは建国以来の歴史でこのことを学習し続けてきた、と筆者は綴る。

私がここで日本外交のあり方について論じるのは差し控える。しかし、個人の処世術という点でカナダのやり方をよく見てみると、会社において上司と如何に接するか、地域において地元有力者と如何に接するか、こういうケースを考える場合でも、大いに通用するように思える。

両国の外交面でのエピソードを多く紹介しながら、本書は表題の根拠を明示していく。

人はみな、多かれ少なかれ、有形無形の圧力に悩まされながら生きているのではないかと思う。そんな圧力の「うまいかわし方」のヒントを、本書は与えてくれているように思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年2月3日
読了日 : 2013年2月3日
本棚登録日 : 2013年2月3日

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