明治時代の流れに乗った嘉納治五郎によって作られた
「道」を好まずあくまでも「術」にこだわった中での思想だという
殺すか殺されるかという緊張の関係から湧き出す思想のようだけれど
自律を志すところの倫理観にはとても到達できず
神への依存から始まる縦社会の道徳感を引きずった矛盾を孕む
思想のように思える
反作用を消すためには作用を起こさずに
相手の懐に入り切り込む必要がある
そのためには中心軸に身を置いたままの動きでなければ
ならないという考えに至り
底から生まれたのが新陰流であり神泉伊勢守が達した
普遍的な姿なのだと前田英樹さんは言う
これは一種の忍者的な戦法なのか
対立を乗り越えた調和への移行なのか
よくわからないが私には前田さんの生き方に共感を覚えた
河野さんの神を数はいいながらも何にも頼らず
歴史を踏み台にして一匹狼的な
すべてを自分なりに体験することで見つけ出すというのも
私の人生に通じる所もあるように思えるけれども
少し意固地になりすぎて矛盾しているいるように感じた
結局生産なく破壊である相手の隙を突いて
殺すことを目的にした修行の中で
調和という思想を云々することに最初から無理があるのかもしれない
二人の意見や生き様が似ているようであって真逆であるので
一つ置きに一人ひとり別々にまとめて読むほうが
それぞれの思いを理解しやすいかもしれない
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
人間科学
- 感想投稿日 : 2014年3月17日
- 読了日 : 2014年3月17日
- 本棚登録日 : 2014年3月17日
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