伊藤計劃トリビュート2 (ハヤカワ文庫JA)

3.18
  • (0)
  • (8)
  • (12)
  • (0)
  • (2)
本棚登録 : 126
レビュー : 12
霧崎寧々さん  未設定  読み終わった 

単位がインフレを起こすような年月を経たアイドルの話。
まさか彼女がアイドルを目指すことが宇宙の命運を変えるとは思わなかった。
アイドルは会いに行けるじゃなくて会いに行かなきゃ、とか普通に聞いたらそれほどでもないのに、彼女の口から聞くと恐ろしく感じる。
それほどまでの力を得たのなら、せめて生前?の自分の境遇を改善してあげて、とも思ったが、そうすると彼女が最高神のような存在にはなれないし「最後にして最初のアイドル」。

そのオチは辛い。自分たちの運命ですら機会が定めたものであったなんて「guilty」。

ハーモニーとにんげんのくにの中間のような世界。
彼らが自らの世界しか知らないのは幸せなようで、自分たちとも大して変わらないのではないだろうか。
自分が暮らしているこの世界がVRではないとは断言できない「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」。

虐殺器官の言語を虐殺以外で(ハーモニーのような目的で)使ったらどうなるか?ある意味ユートピアではないのだろうか。
相手に言いたいことはきちんと伝わる代わりに、オブラートに包むということができないのは、自分にとっては辛い。
でも翻訳する際にネイティブならではの微妙なニュアンスを的確に訳すことはもちろん、心情までも的確に伝えるコミュニケーターはとても有能だと思う。
そういえばgoogle翻訳の際に翻訳する言語同士の間に機械独自に中間言語が登場した可能性があるとかないとか最近読んだ気がする「くすんだ言語」。

虐殺器官のような淡々とした雰囲気。
ただ、後から思い返すと内容が全く思い出せない。
昔読んだ文章の引用(意訳)で申し訳ないが、作者が最も理想とする本は読んでいる間は面白いと思うが、読み終わったらすぐに忘れてしまう本なのだそうだ。
まさしくそんな本「あるいは呼吸する墓標」。

何で入っているの?いらなかった。
一番大部分を占めているのに、一番伊藤計劃らしさを感じなかった。
SFやディストピア、淡々とした文体のような伊藤計劃とは真逆な歴史小説、政治小説のような気がした。
かなり無理な解釈をして、虐殺器官のジョン・ポールが破壊をする前後の国及び地域としての解釈をして、やっと伊藤計劃なのではないか?ぐらい。
これはいらないと思う。この作品以外で刊行してほしかった。
載せるとしても、続きは買ってね!方式ではなく、きちんと完結させてほしかった「ゲームの王国」。


1と比べると伊藤計劃らしさも作品の完成度も落ちている気がする。
3が出るのであれば読みたいとも思うが、伊藤計劃の名にかこつけた短編集ではなく、伊藤計劃らしさを感じさせるものにしてほしい。

レビュー投稿日
2017年3月20日
読了日
2017年2月28日
本棚登録日
2017年3月20日
0
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『伊藤計劃トリビュート2 (ハヤカワ文庫J...』のレビューをもっとみる

『伊藤計劃トリビュート2 (ハヤカワ文庫JA)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。
ツイートする