眠れる美女 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1967年11月28日発売)
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年老いた男のロマンやフェチシズムを文学にすればこうも評価されるのか、と少し憤りはしたものの、三島由紀夫の解説での表現が的確過ぎて納得。
ー「眠れる美女」は、形式的完成日を保ちつつ、熟れすぎた果実の腐臭に似た芳香を放つデカダンス文学の逸品である。
ー6人とも眠っていてものも言わないのであるから、様々な寝言や寝癖のほかは、肉体描写しか残されていないわけである。その執拗綿密なネクロフィリー的肉体描写は、およそ言語による観念的淫蕩の極致と言ってよい。
ー作品全体が、いかにも息苦しいのは、性的幻想に常に嫌悪が織り込まれているためであり、また、生命の讃仰に常に生命の否定が入り混じっているためである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2020年10月13日
読了日 : 2020年10月13日
本棚登録日 : 2020年10月13日

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