万葉集の心を読む (角川ソフィア文庫)

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  • 角川学芸出版 (2013年11月22日発売)
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旅行く男たちを待つ女たちの祭祀についてまとめてある。
あるじ不在の家を守る女たちの祀りともいえる。
万葉歌から推察できる女たちの祭祀のありようは、P68にまとめてある。

1.祭具としては、竹を切って紐を通した竹玉を用いた。
2.供物としては、神酒ないし水を甕に入れて供えた。
3.その甕は、清浄なものでなくてはならなかった。その甕が清浄なものであることを表すのは、白い木綿であった。
4.場所としては、「床の辺」「枕辺」といわれる女性の寝室が選ばれた。

国家や村落にかかわるものではなく、とても個人的であり、DIYである。後世の物忌みにも通じている、自らの身を清浄に保ち、身を慎む行為をしている。陰膳に近い行為であると分析している。

【しかしながら、『万葉集』には一方で、恋人に衣を贈る喜びを歌った歌もたくさん収められています。また彼女たちは、共同で働く楽しみも喜びも知っていたはずです。そして、ときには男たちもチョッカイを出しにやって来ました。
 たしかに、歴史には勝者も敗者も、被害者も加害者も、搾取した人間も搾取された人間もいます。けれども、その一面だけを見て何かを決めてつけてしまうと、その時代時代の多様な側面を見落としてしまうような気がしてなりません。それは、私が民俗学から学んだことでもあります。】(P86)

 あと、大伴坂上郎女と家持の関係は、オネショタというか、年上女性年下男子のコンビとして、書きがいのあるネタであることが、本著を通してわかった。その後、年上好きになった家持は紀女郎と、愛妻の妻大嬢と一番仲良かった時でも相聞歌のやり取りを続けている。これもネタになりそうだ。

 歌垣は集まった人の目もあるので、打ち負かされるわけにはいかない。反発した言葉のやり取りを続けて、互いの気持ちを確かめ合うサイファーが歌垣であるので、万葉集の恋歌には反発要素があるのは、その伝統を引き継いでいるからだろう。

 酒令具の14面サイコロのレプリカ写真も参考になった。今で言う王様ゲームのサイコロ版だが、三盃一去は酒三杯を一気のみするとか、任意請歌では、一座のなかのどんな人にでも歌を歌うように命ずることができる、とか。

大神朝臣奥守が嗤ひに報ふる歌一首

仏造る
ま朱足らずは
は、「マソホ」で、硫化水銀のこと。辰砂とも呼ばれ、鍍金(メッキ)の原料になる。水銀と金を混ぜたものを仏像にメッキするので、その赤鼻をほれと言ったことになる。

おそらくこのゲームでは、その場にいる人を笑うのがルールだったのでしょう。ルールの上で競い合った歌の妙というものは、①誰のどういうあらを探すかという、あらさがしの妙②そのあらをどのように喩えるかという「とんち」の妙③①と②をどのように歌にするかという、歌作りの妙。(P175)
そして、ゲーム中、どんなことをどんな人からからかわれても、怒らないというルールもあったのだろう。そのなかで芸をきわめていたのは長忌寸意吉麻呂であるが、彼は柿本人麻呂と同世代ということ以外何もわからない人物である。
彼に「さいころの目を詠んでみてください」という超難問を出された。意吉麻呂は歌う。

特に、著者は中臣清麻呂を絶賛していて、おそらく次の研究の課題は彼なのだろうと思われる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 国の学び
感想投稿日 : 2019年7月27日
読了日 : 2019年7月27日
本棚登録日 : 2019年7月27日

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