二階の住人とその時代 転形期のサブカルチャー私史 (星海社新書 79)

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  • 星海社 (2016年4月26日発売)
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感想 : 6

 書き残さないといけないから、書いた。自分が書かないと、埋もれてしまうことがたくさんあるから。本の分厚さからも、それが伝わった。
 政治の季節を卒業したインテリたちが子ども調査研究所やマーケティングに移っていくのがとても興味深かったし、今村太平という人も本書ではじめて知った。彼にとってディズニーやアメリカのアニメーションは「機械美」の芸術としてまずあって、キャラクターは機械のアレゴリーであり、そして何より機械化された芸術としてのハリウッド産アニメーションはアメリカニズムという美学の体現だったという理解は15年戦争下を通して今村たちの一貫した考えだったとか、ジブリ前史としてアニメに対するこういう見方があったことがわかる。
【戦後サブカルチャーの歴史に一つは徳間康快が関わった真善美社のような戦時下・戦後へとリンクするアヴァンギャルド芸術の系譜、もう一つは六〇年代安保と全共闘運動の一つの政治の季節を過ごした人々の存在がどうしても無視できない】はこの本の中心に位置する一文だ。
 池田憲章の「ガンダムは最高だ。なぜならば」といって、最初に結論を持ってくる批評の仕方とか、宮崎勤の「リスト」づくりへの情熱と、そのリストの中途半端さ、散漫さ、彼の部屋の中のビデオテープが、テレビドラマやニュースやスポーツ番組をふくめ、不完全だったことの指摘とか、大塚氏は評論の素材に使った人物への責任の取り方が徹底している。

【結局「ロリコン」の語がアニメージュで公然化するのは、1982年4月号付録の「ロリコントランプ」である。パッケージは吾妻ひでおのプティアンジェ。19世紀イギリスを舞台としたアニメ「女王陛下のプティアンジェ」は、名作ものと、後の「セーラームーン」などの原型としての側面もあるアニメーションだが、「吾妻ひでお周辺の若者たち」の間でカルトな人気があった。「ふゅーじょんぷろだくと」の「ロリータ・美少女」特集でも「プティアンジュ」の小特集が掲載されている。】で取り上げられているアニメ「女王陛下のプティアンジェ」がとても気になる。観てみよう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 星海社新書
感想投稿日 : 2016年12月13日
読了日 : 2016年12月13日
本棚登録日 : 2016年12月13日

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