日本流 (ちくま学芸文庫)

著者 :
  • 筑摩書房 (2009年11月10日発売)
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本棚登録 : 165
感想 : 5
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松岡正剛に30過ぎてはまっていたらまずいだろうということですが、私はまだ20代ですので、なんだか面白そうなことを言っていると、いつも新しい本が出る度読んでいます。

最近の「3.11を読む」は途中で読むのを投げ出しました。ただの読書感想文のような・・・・・・書いているうちに、この人は、単なる知の羅列ではないか。「自分のなかのお気に入り」を体系化しているだけで、本当に日本を捕まえようとしているのだろうかと、疑問になります。
いつまでたっても「それはあとで書く。それもあとで書く」ばかりで、一向に本質に近付きません。問題の巨大さは示せても、具体的なその巨大な壁に触れようとしていないのではないかと思います。
けれども、その問題について示そうとする、膨大な知識と目利きっぷりは、たいしたものでしょう。

アドバイザーや問題提出者として、もしくは監修や、教育者として向いているし、実際その方面では、クールジャパン戦略あたりに貢献をしている彼の「編集工学」とは、いわゆる認知心理学でやってる「問題解決」でしょうが、その方法の確立と体系化は、ほんとうにできているのかどうかわかりません。

彼の方法は、ある、みんなが容易に想像がついて、かつ、まあそれが答えだろうと思える、おもかげだの、うつろいだの、複数の日本だの、抽象的答えを、はっきりわかりやすくするのではなく、そこにイサムノグチがいるだの三木露風があるだのを述べ、問題より答えを複雑にするようにして、答えを問題にするような、反転の人だと思います。

セミの声のうるささと、岩にしみ入るという静かさという、デュアルなのが良いと彼が主張したりするのも、まあそれは色々取り出せばクアッドにもなるし、シングルにとらえることもできるのではと突っ込みたくなります。
また、日本というもののヒミツは永井荷風や九鬼周三にあるのではないかとか色々言ってますが、そういう気分で言うならば、日本の物語のすべては田中ロミオと源氏物語にヒントがあるうんぬんいえばそれなりにそう思えるし、そう言ってしまえば、どんなものにも「日本流」はあり、それがジャパン(ズ)であるのならば、そうだろうし、彼は広い視野をもつ物知り先生なのだから、結構思いこみが激しくてテンパってしまう専門家やビジネスマンに、クールなアドバイスを提供し、こういう方法で頭の中の順番やイベントのプログラムを並べてみたらどうか? とウマイことを言う、校正的意味ではない、編集仙人=方法提供者なのでしょう。
過去の人はこういう演出や方法ややり方をやってましたよ、参考にどうですかという人で、そのテンパる人をさらに伸ばす。それが松岡正剛の本質で、それを学ぶのに彼の本は必要だろうと思われるが、彼の方法をコピーしたり、知識を取り入れても、何の答えにもたどり着かないで、ただ壁の前で壁の模様や大きさを語るのみなのであります。以上。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2012年10月10日
読了日 : 2012年10月9日
本棚登録日 : 2012年10月9日

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