安楽死先進国と言われているオランダ在住の著者が、オランダの安楽死事情とその考察、およびもう一つの安楽死先進国であるスイスの状況や日本での安楽死事件なども取り上げながら、安楽死についての現状を明らかにした本。
オランダやスイスであっても、安楽死のほとんどは治る見込みのない病に侵されていて、かつ耐えがたい苦痛があり、本人が生命の短縮を望んでいる他、厳格な基準を満たした場合のみに認められているようだ。
ただ、最近ではオランダで、上記のような条件でなくろも、自分の人生は既に完了してしまったと感じている70歳以上の高齢者も、希望すれば安らかに自死できるようにしよう、という動きも出てきていることも本書では紹介されている。
個人的には以前より、年齢及びその他の一定の条件を満たせば、死のタイミングを自分で選べるようにして欲しいな~、と考えていたので、前述のオランダでの動きが日本をはじめとする世界に広く浸透すればいいな~と本書を読んで感じた。
もちろん、モラルハザードの問題も大きいと思うので、制度設計は慎重に、かつ細心の注意をもって行われるべきであるのは、論を待たない。
加えて、逆説的だが、自分で死のタイミングを選べる、つまり自分の人生をコントロールできるようになれば、人はかえって生きる気力も湧いてくるのではないか、少なくとも自分はそのタイプである。
人生100年時代を迎え、自分の人生をコントロールする手段の一つとしてオランダでの議論がそう遠くない将来、日本でも議題の一つに上がってくれることを望んでやまない。
- 感想投稿日 : 2021年7月14日
- 読了日 : 2021年7月10日
- 本棚登録日 : 2021年7月3日
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