どこの世界にも対立する関係というのは存在する。たとえば企業内組織の問題もその一つだ。協力しあうことを忘れて自部署の権益を守りに走ると、必ず部門間の軋轢が生じる。それでも組織の歯車を維持できるのは、そこに優秀な「調整役」が存在するからだ。しかし、武装解除における「調整役」の難しさは次元を超えている。何しろ戦争加害者と被害者という絶対に相容れない関係の中に「理解」を持たせなければならないからだ。しかも加害者は武装解除のために「対価」を求めてくる。当然その「対価」は、被害者にとっては許しがたい内容。それでも対価を与え、被害者に理解を求める。著者の言葉を借りるならば、平和とは、時に残酷なトレードオフのうえで成り立っている。武装解除。尊い職業であり、残酷な職業でもある。そして、無くてはならない職業。
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- 感想投稿日 : 2015年7月15日
- 読了日 : 2015年7月15日
- 本棚登録日 : 2015年6月21日
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