思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本 (講談社現代新書)

3.55
  • (23)
  • (52)
  • (55)
  • (14)
  • (2)
本棚登録 : 436
レビュー : 64
著者 :
headshrinkさん  未設定  読み終わった 

「遵守」に蝕まれる日本、という副題の通り、形式的な法令遵守に囚われすぎて、本質を見誤っているのではないか、という内容。扱われている話題としては、不二家、伊藤ハムの偽装事件、耐震強度偽装事件、村上ファンド、ライブドア事件、裁判員制度、年金記録改ざん問題がある。日本の法律制度の根本思想として、「普通の人はバカか幼稚だ」ということがあるが、これはこれでうまく働いていたのだという。世の中の変化に伴い、法が実態と合わなくなることに対してどう対処すべきか。法を柔軟に変更しようというのが米国のスタイルで、日本は慣行や話し合いという形で問題解決を行なってきた。刑事事件のような特殊な事件、あるいは民事裁判に持ち込まれるような普通の人があまり起こさない事件、社会の周辺部分のみが法の対象となってきた。が、近年では、法令遵守の名のもとに、社会の中央部分にも法が入り込んできたために、閉塞感が強まっているのだという。全く卓見で、著者のいう通りだと思うが、これは常識がある人にだけ通用する理論なのかもしれない。一部の非常識な人たちや確信犯的に利益を追求する人たちが、社会の中心付近で、プレゼンスを増していることこそが、法の規制が日常に及ばざるをえなくなった原因ではないかとも思う。色々と考えさせられるところの多い本ではある。

レビュー投稿日
2009年3月30日
読了日
2009年3月30日
本棚登録日
2009年3月30日
0
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本 (...』のレビューをもっとみる

『思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本 (講談社現代新書)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。
ツイートする