先日、よくお世話になっている書店で見つけた高杉良作品。
帯に記載の以下の文言がやたらと目につき、思わず手に取ってしまいました。
「起業、転職、左遷、解雇― 40歳は人生の転機」
「会社より大切なものがある。 4人のサラリーマンの決断」
「エリート」とは程遠いワタクシですが、お年頃的にもなんとも気になる作品です。
高杉良氏の作品。ワタクシは初めて読ませていただきました。
この臨場感たるやさすが名だたる経済小説を書かれている方ですね。
作品の根底には、緻密かつ膨大な取材をされているのだろうなぁという感じがヒシヒシと伝わってきます。
あと、何かの岩のようなゴツゴツ感を感じてしまうこの文体は、氏の特徴なのでしょうか?
内容は、帯に記載のとおり、4人のエリートサラリーマンが、それぞれ起業、転職、左遷、解雇を経験される4つの短編です。
現在からすれば、時代設定は多少古めなのかな?
その時代だったからこその、サラリーマンたちの会社・仕事へのコミットメントや思い入れ、職場環境、人間関係、また、ガバナンスが効いてなくて、上下関係丸出しで、派閥闘争、エゴイズムが蔓延している組織構造なのでしょうか。
だからこそ、より一層濃厚なドラマが生まれるのでしょう。
4つの短編のうち、個人的には、「エリートの転身」「エリートの反乱」が好みです。
証券業を「虚業」と断じる著者の歯切れの良さもなかなかに刺激的ですが、エリートでありながら、また、エリートであるがゆえに企業や仕事に対する強い想いがあり、その想いによってそれぞれに人生を変えていく主人公たちの姿が、様々な思いを喚起します。
半沢直樹的なスカッと感はないものの、それだからこそ、奥に深く伝わってくるものがあります。
「実業」かぁ。
憧れるなぁ・・・(^.^)
- 感想投稿日 : 2016年9月30日
- 読了日 : 2016年9月30日
- 本棚登録日 : 2016年9月28日
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