新編 啄木歌集 (岩波文庫 緑54-1)

3.56
  • (16)
  • (16)
  • (31)
  • (5)
  • (2)
本棚登録 : 209
レビュー : 21
著者 :
制作 : 久保田正文編 
へ〜たさん 文学・評論   読み終わった 

最近読んだ石川啄木関連書があまりに酷かったので、口直しに読み返す。啄木は昔から好きな歌人で、手元にある「啄木歌集」は 1946年発行、1992年 65刷 360円。今、手に入る「新版 啄木歌集」は 945円だそうだから、隔世の感がある。

読み返してみて思うのは、もはやコピー文学と区別が付かなくなった現代口語短歌と、啄木の歌には共通点が多いということ。文語旧仮名で書かれているので敷居が高いところもあるが、当時は文章は文語旧仮名で書く時代だったのだから仕方がない。補遺に収められた若い頃の短歌には、いかにも万葉風といった風雅な歌も多いものの、明治40年前後からは「一握の砂」に収められたような平易で軽い歌ばかりになってくる。これは徒言歌を通り越して、もうニューウェーブの嚆矢だ。

本日のお気に入り 10選
- わがために日毎のパンをうりたまふいのちの親のパン屋の娘
- 脉(みやく)をとる看護婦の手の / あたたかき日あり / つめたく堅き日もあり
- 日もすがらほほゑむ人と夜もすがらよく泣く人と二人娶らむ
- 思うこと盜み聞かるる如くにて、/ つと胸を引きぬ ー / 聽診器より
- 冬の夜火きえし室にひとり寢てわかれし人をかぞへこそすれ
- 何事も思ふことなく / 日一日 / 汽車のひびきに心まかせぬ
- 天空に高く舞ひゆく我が帽を仰ぎて立てり旋風の中
- 夏の野は靑海に似たり大鯨持て來て放し追ひて遊ばむ
- 年若き今の世の我も古への老いし旅人(たびと)も賛ふるは酒
- あたたかき飯を子に盛り古飯に湯をかけ給ふ母の白髪

レビュー投稿日
2013年9月15日
読了日
2013年9月15日
本棚登録日
2013年9月15日
0
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『新編 啄木歌集 (岩波文庫 緑54-1)』のレビューをもっとみる

『新編 啄木歌集 (岩波文庫 緑54-1)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。
ツイートする