ネイティブスピーカーの前置詞―ネイティブスピーカーの英文法〈2〉

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本棚登録 : 339
レビュー : 23
制作 : Paul Chris McVay 
henahena1さん  未設定  読み終わった 

 『ハートで感じる英文法』など、英語話者の「気持ち」がどのような形式に反映されているかを分かりやすく、力強く語ることで有名な大西先生の初期の著作。
 前置詞は、認知言語学の中でも主要な研究領域の一つなので、著者の本領が発揮されやすい分野、ということになるだろう。
 内容よりもまず文体というか、最近でこそNHKの講師をやったりして、だいぶん著者のキャラがある意味ネタとして受け入れられている感があるが、この本では、そういった人柄が真面目に反映されていて、面白い。まず「父真悟、母和恵に」と記されている。親を下の名前で呼ぶ感覚が、くすぐったい。そして「あれほど言ったのにまだ丸暗記しているのですか」(p.3)という挑戦的な文句からはじまるのも、時代を感じさせる。というか、基本批判や揶揄からはじまるスタイルというのは健在だろうか。
 内容面では、まず「家族の顔」という原理が紹介されるが、これは成功しているのだろうか。結局、例えばonの最後には「こんなにバラエティに富んだonの使い方も、つまるところ基本イメージにおさまってしまうのです。基本イメージとのつながりを押さえることによって、いままで無味乾燥だった無数のonが、暗記に頼ることなく生き生きと使えるようになってくるのです。」(p.109)と書いてあって、結局は「基本イメージ」というかコアからの派生で理解していく、ということだが、どうせなら、「家族の顔」の説明を貫いて欲しい。というのも驚くことに、冒頭で「多くの人がやっている代表的な勉強法」(p.9)として、いくつかの勉強法が批判されており、「日本語で覚える」、「用法で覚える」が著者の立場からして批判されるのは分かるが、「共通のイメージでとらえる」が、「ほとんどの前置詞で、共通したイメージなど描けないのです」(p.12)といって批判されている。え、「基本イメージ」も「共通イメージ」も似たようなものじゃないの、と思ってしまう。そんなむやみやたら批判しなくても、共通イメージから派生させていく、という説明で済むんじゃないかとも思ってしまった。そして結局おしまいの方には、「at:点と感じられる場合、on:「日」に関する場合、in:「時間幅」のある場合」のように、「用法」めいた分類でまとめてあり、「『at dayとは言わない』あるいは『on=日』と理解する方が、約2562倍楽なのです」(p.145)とあるので、やっぱり用法で分けて覚えてしまった方が早いよね、となってしまうので、これを読んで得られる結論は、「イメージで覚えていって、微妙なものは用法で分けて覚えてしまい、それでも無理なら丸暗記」と、臨機応変に使い分けるのが良いと思う。
 いくつか使ったことのない表現としては、Who's for a beer?(ビール飲みたい人)(p.67)、とかThe bus will be along in a minute.(すぐ来るよ)(p.153)。あとget in the busとならないのはなぜか、と生徒に聞かれて、busはcarよりもデッカイからだよ、なんて説明してしまったが、あながち間違ってないなあ、と思った(pp.99-100)。ここに書いてあるような例(get on the plain, train, shipとget in the car, taxi)をもっと挙げて、「中に入っていく」イメージと「乗り込む」イメージの違いを分からせてやりたかった。あとはShe was at Oxford.が学生として、She was in Oxford.が観光客として(p.138)、というのは知らなかった。atは点でしか意識しないから、そこでやっていた「活動」に意識が向く、ということらしい。
 色々書いたけれども、著者の本は面白いということは大前提。英語好きな人には、前置詞を使った色々な文が読めるので、楽しい。(15/10/)

レビュー投稿日
2015年11月1日
読了日
2015年11月1日
本棚登録日
2015年11月1日
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