パンドラの少女

  • 東京創元社
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488010546

作品紹介・あらすじ

人間としての精神を失い、捕食本能に支配された〈餓えた奴ら〉により、社会が完全に崩壊したイギリス。荒廃した街で発見された、奇跡の少女メラニー。持たないはずのものをもつ健気な彼女は、この世界の救世主なのか? ロンドンの北の隔絶した軍事基地で研究が進められるなか、緊急事態が勃発。メラニー、彼女が大好きな教師、科学者、兵士ふたりの極限の逃避行がはじまる――。一気読み必至、圧巻のエンターテインメント長編! 映画化決定。

感想・レビュー・書評

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  • 遂に小説でも〈動く屍〉ものを選んでしまいました。主人公のメラニーは屍とはいえ喋るし思考するし知能は高い。好奇心旺盛で何もかもを吸収していくけど、「自分は何だろう」にも気付いてしまうのが悲しい。
    メラニー、メラニーが大好きなジャスティノー先生、メラニーみたいな子どもたちを研究材料としか思ってない科学者、メラニーたちを管理してた軍曹と兵士の5人の逃避行はハラハラでした。でもジャスティノー先生以外の3人との変化は良かったです。メラニーが聡明で勇敢で凄い。
    結末も壮絶でした。「次の人類」……キノコの森を焼いてそれを生み出すきっかけを作るパークス軍曹と、次の人類に教育を施すジャスティノー先生の苦悩半端ない。ドクター・コールドウェルはマッドサイエンティストだったけど〈飢えた奴ら〉とメラニーたち第二世代の違いにたどり着いてたので実はちゃんと科学者だったんだな。。
    ゾンビだらけな世界…「世界はとても美しく、だけど破壊された過去で埋め尽くされている」。映画も観たいです。
    訳がまたしても、「ファージング」三部作や「完璧な夏の日」の茂木健さん。絶妙な言い回しの翻訳が好みです。

  • 2023.11 スティーブン・キングの異能機関を読んだばかりだったので、外国小説はこの手のストーリーが好きなんだな〜と感心。なんかSFとゾンビとウルヴァリンのごちゃまぜ小説って感じです。

  • 人類とキノコの菌に感染した<餓えた奴ら>(ゾンビ)に変貌し殺しあうパンデミック小説。

    『カズオ・イシグロ meets ウォーキングデッド』に釣られて手にした。
    病原体に感染したゾンビと戦う物語は、初読みのため、その世界観がわからず苦労した。しかし、結末は、”パンドラの匣”を開けた様に、最後に”希望”が見える。
    きっと、病原体や感染症に対峙するとき、人類が取り得る「対策」は、①病原菌を抹消するか、②病原菌に感染しない、または感染しても死に至らない”族”のみを後世に残す、しかない。
    そこに、感染者(ゾンビ)が加わると、①は殺戮の繰り返しとなり、②は人類がある意味滅びる。

    ゾンビ化する病原体の場合、常に人類側に”分”が悪い。”生存”をかけた場合、ゾンビどおしは戦わない(共食いしない)。したがって、感染してもゾンビ化しない新しい”族”を待つしかなくなる。
    ここで、パンドラの少女では、新しい”族”になりかけている主人公が、”感染爆発”を誘発する。お見事な作戦だ。

    私たちは、変化し、共存し、運よく生き残る”種”が、後世を築くしかないのでしょう。きっと。

  • 終末・ゾンビ・ロードノベル。←大好物\(^o^)/人間の脳に寄生するキノコが原因で奇病が蔓延し文明が崩壊。寄生された人間はゾンビ状態になり人間を襲うようになる。しかし主人公メラニーのような、寄生されながらも自意識をもち学習する特別な子供たちが発見され、軍の施設で研究が進められるが…。絶望的な逃避行なのに、読者がそんなに悲観的な気持ちにならないのはメラニーの存在のためか。作中に出てくるオフィオコルディセプスが実在し、アリに寄生してゾンビ化させ、実際にキノコが生えるのには驚く。

  • 面白かったけどね、救いはない…のかな。

  • キノコの一種オフィオコルディセプス・ユニラテラリスに脳を乗っ取られて、人類の大半がゾンビ化し、ハングリーズ(餓えた奴ら)と呼ばれるモノになった未来。場所はイギリス。ロンドンの北の隔離された軍事施設で、ハングリーズとなったにもかかわらず、知能を失っていない子ども達を研究する集団。その中でひときわ優秀な頭脳を持つ少女メアリー。
    軍事施設がハングリーズを利用したジャンカーズ(廃品漁り:生き残りの人類で無頼漢の集団)たちに襲われ、施設の生き残り四人(パークス軍曹、ギャラガー一等兵、ジャスティノー、コールドウェル博士、メラニー)が、ハングリーズだらけの中を、人類の拠点都市ビーコンに向かうという物語。
    人類にとってはバッド・エンドだが、一旦崩壊した文明は復活することを予想させるエンディング。前半は、舞台設定を理解するのに時間がかかり、もたつき感があるが、後半は怒涛の展開で、楽しめた。

  • 面白かった!なんでそうなっちゃったの?これからどうなっちゃうの?が、スッキリ説明されていてモヤモヤ感ゼロなうえに、脱出行は、もはや冒険小説のハラハラドキドキ感。楽しい読書でした。

  •  ゾンビものというか、ディストピアものというか。ハッピーエンドとは言えないのだが、読後の感想としては悪くない。こどもたちの未来があるからか。
     映画化されており、DVDを見たのだが、かなり原作に忠実に作られている。作者自らが、脚色しているのだから当然といえば当然。

  • 映画を見たのでキャラクターをイメージしやすかった。面白かったが暇つぶしにしては量が多すぎ。
    ところどころ聖書や神に対する、洗脳的嘲笑や冒涜が目立ち、読んでいて苦痛であった。ゾンビ物が好きであるのだが、もう読むのやめようと思う。しかも翻訳なので日本人作家よりも、登場人物が外人さんゆえに、感情移入しずらかった。

  •  「中間的存在」である少女が自分の存在について何を考え、どのような選択・決断をして生きていくのか、その少女の周囲の人たちが何を考え、何を思い、どのような心情の変化を起こしながらその少女と時間を過ごしていくのかを考えながら読むとなかなか面白い。最後の少女の決断を知ったとき、タイトルの意味を知り、納得できると思う。文章やストーリーは平易なので、一気に読み進めることもできるので、ぜひ読んでいただきたい。
     少し残念に思ったところは、もう少し膨らませてほしいと思うところがチラホラあったところ。

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