訣別 ゴールドマン・サックス

  • 講談社 (2012年10月23日発売)
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感想 : 27

メインテーマ:儲けたかどうかのみが評価の基準となり、それに基づく人事評価がもたらす倫理観の欠如。著者はそのスパイラルに陥っている投資銀行業界における倫理観の再構築を求めている。一種の告発とも言える。

内容:序盤→中盤は、著者がGSに採用されるまでの過程やメンターとの出会い。インターン→アナリスト→アソシエイト→パートナーへの昇進過程や、その過渡期に起こった9.11やリーマンショックに言及し、終盤では倫理観の欠如を伴った投資銀行業界へ疑問を提示している。ところどころに挿入されている上司の彼への助言やエピソードは含蓄がある。正確な引用ではないが、内容として以下の二つを例にあげる。
・質問に答えられない時にベストの回答というのは、「わかりません。でも、すぐに調べます」そして、それに答えるための方法を知っておくことだ。
・変化は怖いものさ。だが多くの場合、変化はいいことだ。新しい、面白い経験につながることがある。

まとめ:
投資銀行が自社利益のためであれば、年金基金をはじめとした無知な顧客から利益をせしめる現状に疑問を呈している。GSの14箇条の社則の第一条に示されている「顧客第一主義」がないがしろにされ、『エレファント級』の取り引きで利益を上げることが最も評価されている。著者はこの短期的に暴利を稼ぐ倫理観の欠如を含んだ体制から脱却し、従来投資銀行が請け負ってきた顧客からの信頼や評判に基づく長期的な儲けについて再評価すべきと説いている。

読了:4H

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感想投稿日 : 2014年3月3日
本棚登録日 : 2014年3月2日

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