世界を見てきた投資のプロが新入社員にこっそり教えている驚くほどシンプルで一生使える投資の極意
- 東洋経済新報社 (2020年6月26日発売)


【269冊目】初心者向け投資入門の本。文系・法学部卒・非営利部門勤務の私でも、よく分かる投資の本でした。ただし、著者が「グローバル資産形成研究所」勤務であること、上下動を繰り返しつつも右肩上がり傾向から逸脱することのなかった過去50年の世界株式の成長が今後も続くかどうか保証はないことの2点に気を付けなければ、と思った。
とはいえ、なんとなく金融投資は怖いもの、と思っている日本人にとっては、それを肯定的に捉えなおそうと背中を押してくれる書。
その上でいくつか備忘的に。
・社会人の社会参加は①働く②選挙③お金、で行う。
・自分の資産は、お金や不動産だけでなく、自分が将来稼ぐ金という視点の「人的資産」も考慮に入れるべし。
・ほとんどの日本人は日本で働き、日本の客を相手にしているなどから「人的資産」は100%国内資産。そのため、分散投資の観点から「金融資産」は海外に投資すべき。
・分散投資の観点から、国内/海外と成長/安定という二軸で金融資産を分け、自分に合ったバランスをとるべし。
・欧米の大企業経営者はストックオプションで報酬を受け取っており、投資者と同じ船に乗っている。
・過去50年、上下動を繰り返しながらも世界株式は成長を続けている。
・ファンドマネージャーは、一般市民の代わりに企業の経営者をモニタリングしている。
・国債投資→官僚や政治家が作る豊かさに期待、株式投資→民間企業が作る豊かさに期待。
・良いファンドマネージャーは「投資→成長→豊かさ」という流れを意識し、3年以上の長期視点で企業経営を判断する。
・自国通貨高は自国が豊かになった証。「円高不況」という言葉は、日本が「輸出で稼ぐ国(貿易収支国)」だった時代の話で、現在は「海外へのビジネス投資で稼ぐ国(所得収支国)」である。
・短期の値の上下やチャートを気にしている人は、投資の背後にある実態を考えずに、ギャンブルとして投資をしている人たち。
・本当の投資とは、投資によって得られた豊かさの一部を受け取ることであり、短期のギャンブルとは、誰かの損を自分の得にすること。
・正しいファンドを選ぶコツは3つ。
①信頼できるプロにアドバイスを仰いで、ファンドを選ぶ
②本当にしっかり勉強して、「これだ!」と思えるファンドを選ぶ
③「厳選されたファンド群」から選ぶ
・③は具体的に言うと、確定拠出年金やつみたてNISAが該当する。
- 感想投稿日 : 2020年9月3日
- 読了日 : 2020年9月2日
- 本棚登録日 : 2020年9月3日
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