色街の興亡と娼婦自らが語る物語の書。性産業について考えさせられるばかりでなく、一時の日本にとって娼婦は貴重な外貨獲得の主要輸出品目であり、かの福沢諭吉も出稼ぎ者の支援者として積極的に輸出すべしと論じていた、そして不要となった現在は歴史から末梢されつつあることなど知り難い歴史にふれられた。娼婦と宗教の関係性もまた興味深く、宗教は娼婦を、人として肯定できず貶めるだけの存在にみえた。そして、人に向けられた「浄化」の傲慢さ。あぶれた雇用、可視化できなくなった従事者、行き場を失った欲望、、、思慮なき「浄化」は社会に何をもたらすだろうか。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説・その他
- 感想投稿日 : 2016年11月27日
- 読了日 : 2016年11月27日
- 本棚登録日 : 2016年11月27日
みんなの感想をみる