SNSに蝕まれる若者たちを描いた作品。
皆、オンリーワンの何者かになりたがるけど、そんなに簡単に「すごいやつ」になんかなれない。そんな自分をSNSの中に投影する。本当の自分は大したことないのに、写真と文字で最大限に自分を盛って、肩書きや経験を目一杯背負い込んで、キラキラした自分になろうとする。他とは違う特別な存在であることを殊更に主張する。
飾れば飾るほど、自分がつまんないやつだって事実に背を向けて。
ネットの世界で自分をよりよく見せることを他人にアピールするのが表の姿だとすれば、そうした姿を見つけて影で嘲笑うのが裏の姿=裏アカウント。
裏アカは絶対に人に見られたくないような醜い感情を曝け出すためだけに存在している。言葉にしなくていいようなネガティブなことをわざわざつぶやく行為は何の得にもならないけど、つぶやかずにはいられない。他人を見下していなければ、自分を保っていられないくらい現実世界の自分が弱々しく、惨めなことを裏付けている。
最後の30ページで、SNSの表と裏がどんどん明かされていく。痛々しくて、恥ずかしくて、とても耐えられないくらいのダサさと醜さが容赦なく突き刺さってくる。
ネットの世界でいつまでも虚勢を張って、つまんないプライドを守って殻に閉じこもってても何も変わらない。
泥臭くたって、弱い自分に向き合う勇気を持って、愚直に進んでいくことの方がよっぽどカッコイイんだ。
ネットの中じゃなくてちゃんと現実で生きろよ!
若いが故のダサさ、痛々しさ、カッコ悪さを、今の若者達に落とし込んで喝を入れてくれる一冊。
- 感想投稿日 : 2018年12月10日
- 読了日 : 2018年12月9日
- 本棚登録日 : 2018年12月9日
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