社会調査のための計量テキスト分析: 内容分析の継承と発展を目指して

著者 :
  • ナカニシヤ出版 (2014年3月1日発売)
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感想 : 7
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内容分析の奥深さ、著者が内容分析に向き合う姿勢に頭が下がる思いだ。
KH Coder というフリーソフトを活用したいがためだけにこの書籍を購入した自分が情けない。

アンケートなどで獲得したデータを製品企画などにつなげる手法や考え方は、さまざまなものが開発されているが、「機械的な質問から導かれたコンセプトで満足してよいのか」という思いが根底にある。
結局、これら手法を表面的になぞったところで よいものは生まれない。

私自身は、顧客の生の声+背景から、文脈を含め 真なる要求を愚直に整理することがもっとも大切であると思っているが、これも著者曰くの恣意的要素が入る可能性がある。

加えて何よりも、これら言語データの整理を苦手とする者は多く、個人差も相当あるように思う。

なので「コンセプト明確化」におけるボトルネックは、コンセプトを具現化するところではなく、そもそも何が望まれているのか?という根っこの部分にあり、仮にデータがあっても これをうまく整理する力量が不足していることにあると感じている。

そんな折、
KH Coder ではじめて共起ネットワークを描いたときは衝撃だった。
何もコーディングせず、デフォルト設定のままでデータの概要をほぼ掴むことができたからだ。
これなら使えるかもしれない。。。 はじめてそう思えた。

アンケート結果の平均傾向を求めるよりも、自由回答に記載いただいた声をKH Coder にかけることで、いままで気がつけなかったことが発見できるかもしれない。

不具合事例を KH Coder にかけることで、同じく、いままで気がつけなかった分類区分、自らの弱点が発見できるかもしれない。

とはいえ、文系各位には敷居は高いかもしれない。アンケートの自由回答を分析するということのみに絞って、ガイドを作ってみたい。


最後に
これだけのソフトをフリーで提供されている著者にあらためて感謝したい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年9月23日
読了日 : 2015年9月24日
本棚登録日 : 2015年9月16日

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