19世紀初頭から末にかけて偽造文書作りをなりわいとした者を通じて描かれる、憎悪と歴史。

記憶を取り戻すため、日記を書くことにしたという体裁でスタートするが、どうも様子がおかしい。ときおり倒れるようにして眠ると、別の人間が自分の日記の続きを書いている。「語り手」はその2人の記述を補うように「物語」を書き足す。

エーコらしい、メタフィクションだといってしまえばそれで終りなのだが、エーコらしく、隅々に歴史や美術、当時の風俗に関する描写がちりばめられていて楽しめる。

語り手によるフィクションでありながら、実在する登場人物たちを華麗に操作しながら語られる、ある種の歴史であり、その意味で、虚構と事実と”語られたもの”との交錯がテーマ、ともいえるかもしれない。19世紀においては、それらはほとんど区別できなかったようだし(意図的に区別せず利用した場合もあったようだし)、その点は、実は現代でも同じだ(トランプ氏をみよ)。

社会が動くとき、そこには”作り出された”現実とともに、リアルな憎悪といった感情が必ず伴い、だからこそ、私たちは理性と言うものを発明せざるを得なかった。何もかもを放り出して理性を忘れた動物となるとき、人は想像もできないほど感動的に、残酷になれる。だからこそ、私たちは理性的な語りをし続けなくてはならないのだ。

2016年10月18日

読書状況 読み終わった [2016年10月18日]
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シェイクスピアにまつわる本を追いかける、古書籍商人の冒険。
映画の脚本にちょうどいい、という感じ。難しすぎず、適度にサスペンスと恋愛要素も絡み、ハッピーエンド。素直に面白かった。
わかりやすく書いているが、丁寧にシェイクスピア周りの人間関係を調べているのも(かつ蘊蓄を語りすぎていないのも)、バランスがよく、好感が持てる。
監督によっては、映像でも佳作となりそう。

2015年12月13日

読書状況 読み終わった [2015年12月13日]
カテゴリ novel

偶然殺人犯となった元大金持ちの息子の回想録。よい時期と、悪い時期を乗り越えて、現代へとやってきた語り手は、魔術師によって呼び出された霊を残して消える。
前半の、幼少期の思い出、あるいは失われつつあった貴族世界の「よき時代」と、現代における猥雑な話題との交差は、ナボコフを思い出す。だが、ヴォネガットはナボコフほどは残酷ではない。
螺旋をのぼるように、同じところを何度もめぐりながら、少しずつ真実が明らかになっていく描写は、ヴォネガットらしい。彼のシニカルな視線はまだそれほど強くないし、登場人物たちの悲哀も、”人生”という流れの中では川に落ちるしずくのようにしか描かれない。
ストーリーというよりも、人生そのもののなだらかさ、山や谷があるようでいて、終わってみたらなんだかよくわからないものだった、という真実を、多少の事件を交えながらつづっている。
様々な場面が一つの小さな町に収束していくという点では、ポール・トーマス・アンダーソンの『マグノリア』を思い出す。
小さな世界の、複雑な入り組み、あるいは、思い込み。

2015年8月15日

読書状況 読み終わった [2015年8月15日]
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メルヴィルのバートルビーのみ読了。
奇妙な書写人を雇ってしまった男が、その理性ゆえに、頑なな自己を貫くバートルビーに振り回されるという筋。
理性の狭間に置いてきぼりを食らったようなバートルビーの佇まいが妙に印象深く、淡々と彼の生涯に想いを馳せてしまう読後感。

単純に、バートルビーに人格と人権を認めるから扱いにくいのであって、次の借家人のように力尽くで追い出してしまえば済むはなしだが、法を扱う立場であり、また感情と言うものに従って動いたことがなく、自らをもって理性的と任じるがゆえ、語り手はバートルビーを無碍に扱えない。
バートルビーには、理性がないわけではない。むしろ、「そうしない方が良いのです(I would prefer not to…)」という話し方には、気味が悪いほどの丁寧さがある。ターキーやニッパーズといった古参の書写人たちに比べたら、かなり物静かだ。
にもかかわらず、バートルビーには、はなしが通じない。彼は語り手や、他の登場人物とは異なる。頑固や意地といつたものではなく、ただ、完全に行き違う。
語り手にはそれが耐えられない。
語り手は、バートルビーにも人生があり、自らにも理解可能な理由があると考えたがる。バートルビーの人生に同情しようと試み、哀れみをもって彼を許そうとする。
だが、語り手のそうした努力もバートルビーにとっては埒外で、結局、語り手はバートルビーに変化を求めるのを諦め、自らが離れる方を選ぶ。

人間の、理性ゆえの懊悩のおかしみというか、コントロール不能なものに出会ってしまった者の不運がうまく描かれた佳作だった。
それにしても、バートルビーとは一体何者だったんだろう。

2014年2月5日

読書状況 読み終わった [2014年2月5日]
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身近な存在となりつつあるのに、直視されない外国人について、弁護士という立場から見えることを描いた秀逸なエッセイ。

お題目にこだわり過ぎて、現実を見失うことはよくある話。
「不法」滞在者は全員強制送還でいいじゃないくらいのことを私も考えていたわけだけど、そこには100人100通りの事情があって、しかも少なくない事例で日本政府の都合が関わっているとわかると、考えも変わる。
現実をうまく整理するのが規則であるべきで、弱者を切り捨てる為に使うものではない、という筆者の見解にはハッとした。
この本に書かれた現実が外国人だけの話ではなくなるかもしれない現状をふまえて、いま読む意味のある本だった。

2014年1月31日

読書状況 読み終わった [2014年1月31日]
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ふとした想像が暴走することは確かにあるのだが、彼女の場合、それがちょっとおかしな方向へ行ったまま止まらなくなるので、結局そっちのほうがリアルなんじゃないかという気持ちにさせられた。
エッセイというより、不思議な想像力をもった短編というほうがあっていると思う。

2013年10月23日

読書状況 読み終わった [2013年10月23日]
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白人女性をヒエラルキーの最上階に頂く社会に飛び込んだ、日本人青年とドイツ人女性の顛末。女性に奉仕する畜人の詳細な飼育方法、価値観が描かれる一方で、部外者であった二人が徐々に調教されていく様も精緻に描かれる。展開は、やがて神話世界とのかかわりを明らかにしながらも、中途で終わる。


広く言って、これはSFに属する話であると感じる。現実に入り込む異端を描く幻想小説ではないし、サドマゾ小説でさえない。筆致は詳細であり、その世界の成立の根源を極めて科学的に描こうとしているという意味で、SFがもっとも近い。

といって、では同じく独自の神話世界を生み出したラヴクラフトのようなものかというと、これもまたまったく異なる。ラヴクラフトにおいてはあくまで神の世界は神の世界として存在していた。
だが、こちらのほうでは、神の世界は存在しない。むしろ神の世界は人間の世界だった、というネタばれ話であり、徹底的に分解され解説された神話読解本とも言える。

この小説がグロテスクであるとするなら、おそらくそれぞれの人間の心変わりと、潜在的な支配欲求を白日の下にさらし、書き尽くそうとしているところなんだろう。

2013年8月7日

読書状況 読み終わった [2013年8月7日]
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四次元的存在者ガルくん星になるの巻き。

明確な理想の元に遂行される行為が、次第に意味を失い、あるいは別の意味をまとい、混沌としていく様子が鮮やかに描かれている。
彼を狂っていると誰もが言うが、彼にしてみれば彼は正義であり、なすべき大仕事を成し遂げたということになる。
一方で多くの人は真実を知らず、あるいはまったく別の真実を信じている。

では、果たして真実とはなにか?
読み続けている間、常に付きまとう問い。

幾重にも重なり合う真実の階層から透けて見えるものがあるのか、それともそれもただの幻影でしかないのか。
「切り裂きジャック」を語ることは、彼が膨大な言説の中に埋もれているからこそ、真実とは何かを問い続ける行為であるのかもしれない。

2013年6月28日

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四次元的存在者、ガルくんの冒険1.

2013年6月28日

読書状況 読み終わった [2013年6月28日]
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読書状況 いま読んでる
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生命が支配における最後の領域なんだということをこれだけのボリュームをもって展開できるのは、さすがだと思う。
小説としても文体としても、前作の『虐殺器官』からはずいぶんうまくなったと感じた。
ただ、後半を読む限り、思考実験の域を出られなかったという印象をぬぐえないというのが正直なところ。

伊藤に関してはどうしてもその後の本人の生き様が頭をよぎるので、文章だけを切り離して評価しにくいところがあって、それはある意味では伊藤らしいのかもしれないとも思うのだがずいぶんやりにくい。

個人的な好みをいうのであれば、生命を感じずに終末を迎える人間の恐怖というものがぜんぜん描かれていないのが不満だし、最後の章は蛇足だ。

ただ、それが死を目前にした状況によってなされていることだと思うと、胸に迫るものがあるのも確かだ。

書き換えるかもしれないが、今感想として出せるのはこのくらい。

2013年4月18日

読書状況 読み終わった [2013年4月18日]
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絶対に真似してはいけない危険なお手本。

おそらく彼くらい繊細で才能のある人間は他にも存在している。だが、彼ほど周囲の人間に恵まれた人はいない。そう私は感じた。
基本的に破滅型。その彼がなぜ創造的でありえたのか。それを形にできる人々が周囲にいた。そういうことだ。

よいデザインも、コンセプトも、形にならなければ意味がない。そしてよいデザインもコンセプトも、必ずしも売れるとは限らない。

だが、彼の場合、利益は常にすごいものの実現のために必要とされたにすぎない。(これは理想論すぎるし実際は計算ずくのこともある。)ただこの発想での爆走がうまくいったのは、できあがったすごいものが、単なる美術館の飾りではなく、人々が欲しいと思うものだったから、という点につきる。明確なコンセプト、機能、操作性。新たなパトロンである大衆によって求められたアートが、彼の作り上げた商品だったんだろう。
(その意味で、現代アートが意味不明なコンセプチャルアートか、学術研究に近づいているというのは対照的だ。どちらもパトロンであるべき大衆が求めない)

そう、たぶんアート(本来の、技術という意味での)だというのが正しい。

彼は、とにかくとんでもなくすごいものを作るということだけのために邁進した(時に盲目に)。で、これは創造の本来の意味、つまりゼロから作るということであり、ほとんど発明だった。(実際に彼は200あまりの特許も取っている)

ともあれ、天才も死ぬ。今後のアップルが、彼の求めたとおり、長く続く会社であり続けるかどうかが、私はいまのところ一番気になる。

2012年11月24日

読書状況 読み終わった [2012年11月24日]
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読書状況 読み終わった [2012年11月24日]
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壮大な二次創作といった体。
よくできているとは思うが、後半風呂敷をたたもうとして急いでしまっている感がある。ドストエフスキーの続編なのだから、そのあたりの心理描写がもっと長くてもよかったのに、とは思う。真犯人の告白の場面も、少し物足りない。
ただ、本当に最後の何文かがすばらしい。原作の中で私がもっとも感銘を受けた場面であり、まるきり原作からの引用ではないものの、原作と同じ感銘を受ける描写だった。

いろいろかぶっていると噂の『屍者の帝国』とは、内容、手法、ともにそれほど似ていないが、扱う時代やキャラクター、原典などの素材が同じことで、あちこちデジャヴはある。
特に、オルガンに関する描写はかなり似ていて、そこは少し驚いた。
二人の筆者が何か密会でももって打ち合わせしてたとしたら、それはそれで面白いな、とは少々。

2012年11月2日

読書状況 読み終わった [2012年11月2日]
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現代におけるゴシック小説として秀逸な出来。
基本的にゴーストバスターズだが、自意識を取り扱う小説でもあり、その流れでいけば、アガサ・クリスティ的な独白ミステリ(信頼できない語り手)の流れもくむ。(とはいえ、すぐ連想したのは田中芳樹のお涼様シリーズだったのだが、それでいくと両者ともホームズ-ワトソン関係のパロディでもある)

作品において一貫する問いは常に、「誰がこの物語を語っているのか」という点にある。舞台装置やキャラクターに酔ううち、読者はいつの間にかこの事実を忘れ、時として、混乱しつつ読み進めることになる。

エピローグは、個人的には少し冗長に感じた。
だが、自意識、あるいは語り手、という点で物語りの結びとしては必要だったかもしれない。
それに、円城としては、伊藤との合作という形で書いた以上、どうしても書いておきたかったのだろう、とも思う。

2012年10月13日

読書状況 読み終わった [2012年10月13日]
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澁澤龍彦の手になる唯一の長編小説。
お伴を三人連れ、天竺へ旅する高丘親王の航海記。

メロドラマ以外でひさしぶりに面白いと思える小説を読んだ。

歴史小説の体をし、旅行記という面をつけてはいるものの、実態は幻想小説だ。
つまり、物語の中で、現実世界に唐突に不思議や怪異が現れる。

さらに面白いのは、その少しねじれた現実世界の中で高丘親王が夢を見る。
夢は高丘親王のいる現実世界の続きであり、彼にとっては不思議というより妥当な世界に違いない。
だがそれを読む読者にとっては、(両者がはっきりと書き分けられているにもかかわらず)両者の質的な差は判別しがたく、それゆえ二重に覆われた虚構といった様相をあらわしてくる。

ひとつひとつの幻想の描き方もさることながら、その仕組みがこの物語に一層、いわば夢以上の儚さを与えている。

一方で、歴史小説の体をなしているおかげで器はしっかり作られており、物語としての終わりもきちんとやってくる。

これはうまいこと作ってあるなぁ、とただただ感心するばかりだ。

2012年9月5日

読書状況 読み終わった [2012年9月5日]
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高等中学校に通う五人の少年と、正義先生、禁煙さんを取り巻く、クリスマスの物語。日常系(ちょっと昔のドイツの)。

前半の、同じ学校において展開される世代を越えた相似(あるいは歴史や伝統とも言えるような繰り返し)、入れ子状の物語構造が、後半に入ると現在と繋がり一本になる、という展開が鮮やか。

登場人物同士の関係は、物語における友人関係のタイプ、愛を取り巻くエピソードの典型というか、非常に綺麗なお手本だと思う。
枚数は多くないが、一人一人の描写は丁寧で、詳細なところにも好感が持てる。

友情、小さな決闘、絶望と失踪、困難を克服する勇気、再会。
こう書きだしてみると、少年漫画に求められる要素(友情、葛藤、成長)がしっかり入っているのも面白い。

読み返してみて、改めてプロの仕事だと感じた。

2011年4月2日

読書状況 読み終わった [2011年4月2日]
カテゴリ novel

リスク管理できない<危険>のグローバル化が引き起こすことについて。

危険(テロ、環境問題など)はいつどこにいても振りかかるものだから、国民国家という枠組みにこだわっていては防いだり対向したりできないし、そもそもそういった概念では捉えられないものになっているので、危険について考えるなら、ともかく国民国家という概念や戦争モデルを捨てて、グローバル化した世界(というか地球)を前提に新しい概念とモデルを考えないといけませんね、という話。

内容の検討は専門家に譲るが、理解はしやすかった。現実的な状況の変化と、概念を刷新する必要との関連がよくわかる。


※癖のある文章構造をしていて、最初手間取った。頭の方から理解しようとしないで、分からないところがあっても読み進めてしまって、最後にわからなかった辺りにもどるのがオススメ。

2012年9月1日

読書状況 読み終わった [2012年9月1日]
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師、由良君美を追想する四方田犬彦。

上品にスーツを着こなしパイプを咥え、ぞくぞくするようなとんでもない博学を披露する知の巨人としての教師が、やがて人間的側面を暴かれ籠絡していく様は、ナボコフほどではないにしろ、やはり残酷なものを感じずにいられない。

本書の中で、変化はしばしば老いと重ねられ、あるいは成長と重ねられ、時間の経過が一人の人物をいかに変えうるのか、印象とはいかに脆く崩れやすいものであるのか、そしてその崩れやすい仮面を、教師がいかに必死に保持しているのか、描かれていく。

一方で、本書がいかに残酷な内容であったとしても、四方田が由良へと寄せる変えようのない思慕は端々に感じられ(それがしばしば他を攻撃するような表現へ繋がるのだが)、不幸な出来事を通じてもなお、彼らの関係は変わらなかったのだろうと予想させられる。

全編を通じて視線は優しく過去へ注がれ、甘い痛みを伴うロマンティシズムに満ちていた。

2012年8月12日

読書状況 読み終わった [2012年8月12日]
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読んでいるうちに景色が回りだし、しまいには眩暈がしてくる。そういう類の小説。
これと似た印象の小説を思い出そうとしてみたが、草間弥生の『クリストファー男娼窟』あたりだろうか。

だが、あちらよりはだいぶ、感覚的じゃない。
いや、感覚は独特だが、笙野の場合そうした感覚はすべていったん反省の元に置かれ、感じている私というものを上から見た状態で、改めてそこに感情移入するというような、回りに回った経路を辿るようになっている。
読者としてそれに付き合って出口に出たと思ったら、入口からは想像もできない場所に出た、ということがままある。

だが、不思議と疲れるとか、面倒な印象はなく、むしろ軽妙でさえある。
今度はどこへ連れていかれるのだろう、というわくわくした気持ちさえ湧いてくる。
単純に、文章がうまい、というか、言葉の選び方がうまいのだろう。

このためか、「私」という一人称の語りで進む割に、女の情念のようなどろどろとしたものに絡め捕られて行くという気はせず、むしろそういう情念についてつい考えてしまうもう一段階進んだ状態で積極的に語るので、つねにどこからしら、諦めや冷静さがつきまとう。
確かに悲しんだり怒ったりしているのだが、それをどこかで見ている私、というものが常にいる。

笙野作品はこれが初読だが、これだけ読む限りでは、肉体では怒り狂いながら実はそれを面白がって観察しているような、どこか黒子のような作者というものがちらちら見えた。

2012年7月27日

読書状況 読み終わった [2012年7月27日]
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人畜無害な小説だが、本棚にあえてこの本を入れる必要はないという程度の面白さ。
これを読むなら、スウィフトを読んでおけば充分では。

私がこの小説を評価しない点は、以下:

・文体が平易を通り越して冗長なうえ、単調。

・この展開にこれほど枚数が必要だとは思えない。単にトリックを見せるだけなら短編でいいし、見知らぬ国を描くなら、もっと細部を描くべきだ。

見る人が違えば見える景色も異なるというテーマは理解できるし、面白いとは思う。だが、観察者による景色の見え方の違いについて、うまいポイントで転換できなかった、という印象が残った。
小説に仕掛けられたトリックにうすうす感づいてしまっていた、というのが、鮮やかなどんでん返しという印象にも巧妙な作りこみという印象にも繋がらなかったのだろう。

(27072012改訂: 単に「嫌い」というだけの感想をひっこめました。)

2012年7月8日

読書状況 読み終わった [2012年7月8日]
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