伊藤計劃記録:第弐位相

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本棚登録 : 362
レビュー : 32
著者 :
制作 : 早川書房編集部 
hiratsujiさん 小説   読み終わった 

伊藤計劃氏の書籍未収録作品を集めた記録集第2弾。小説2篇、散文2篇、原作漫画2篇に、「はてなブック」の記事を収録。

「虐殺器官」、ノベライズ「メタルギアソリッド ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」、「ハーモニー」。いずれの長編も、「わたし」という一人称で語られる。

ただ、ここに収録された2つの短編はいずれも三人称。「フォックスの葬送」は「メタルギアソリッド」のその後の世界を描き、「Haevenscape」は「虐殺器官」の原型である。

一人称の語りは、これらの習作を経て完成されたものなんだろう。

どこで読んだかは忘れたが、伊藤氏は「どの物語も、誰かの物語である」というような趣旨のことを書いていた。

その人の物語であるならば、一人称が一番書きやすいし、読者にとっても読みやすいはず。なるほど、筋がしっかり通っている。

扉ページを開くと、こんなことが書いている。

「これがわたし。 これがわたしというフィクション。 わたしはあなたの身体に宿りたい。 あなたの口によって更に他者に語り継がれたい」(伊藤計劃「人という物語」)

記録集の中で半分以上を占めるのが「はでぶ」の記事。早書きとして知られたそうだが、ブログ記事量も半端ない。映画鑑賞の記録が多くを占めるが、時折、闘病や執筆状況などを伺うことができる内容がある。

白血球の数値減少、抗がん剤の投与、肺の切除手術、がんの転移…。壮絶な闘病生活を送っていたことが分かる。しかし、弱音を吐くことはほとんどなく、クールに面白がったりもする(少なくとも表面上は)。

そんな中、少しでも長く生きたいと願いながら、凄まじい量の映画や本をインプットして、3本の小説としてアウトプットしていった。

この記録集は34才で命を散らした、伊藤計劃という作家の「物語」である。

レビュー投稿日
2012年9月30日
読了日
2012年9月30日
本棚登録日
2012年9月30日
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