人事異動 (新潮新書)

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”人事担当という仕事柄、読んで役立てたい一冊。「土管人事」など耳に痛い言葉がたくさんならぶが、「個々の異動はSECIプロセスのどの局面を目的にしたものかを明確に意図できる」という主張(p.113)が新鮮だった。徳岡 晃一郎さんは『MBB』の共著者の一人でもある。

<読書メモ>
・人事異動は、人を慣れ親しんだ環境から引き離す。人材を異質な場に放り込み、異質な体験を通じて目を見開かせ、新たな発展につなげるドライビングフォース(駆動力)にもなりえるのである。(p.8)
・日本の組織の深く考えない風土(p.14-)
 3大症候群(何も決まらない、とりあえず、形だけ)
・このような視野の狭い人間ではなく、いろいろな体験を積み、幅広い視野や人脈を備えた人材を作るのが人事異動だ。(中略)人を大きく成長させるために人材の化学反応を促進させる意図が、そこには必要だ。(p.38)
・人事の根幹をなす人事異動は、組織の形成、個々人のモチベーション、人材育成と人材活用の肝である(p.43)
・成果主義、結果主義からチャレンジ主義へ
 人事部が企業の強みの源泉に想いを馳せていない例が多く見られる(p.86)
 人事部も変化しつつある。自社のビジネスモデルを研究し、強みを理解し、会社のメッセージを社員との双方向のコミュニケーションを充実させ伝えようとし始めてもいる。(p.93)
★ムダに人を動かさない(p.111-113)=知識創造型人事異動
 これらの問いに誠実に答えられる異動が組まれるようになれば、企業の知の体系がはっきりし、組織や個々人の志も高く保たれるだろう(中略)
 したがって、個々の異動はSECIプロセスのどの局面を目的にしたものかを明確に意図できる。会社は社員に原体験を積んでほしいのか(S)、コンセプトを創造してほしいのか(E)、既存事業を大きく発展させてほしいのか(C)、じっくり考えて改善してほしいのか(I)など、期待するものが明確になる。
★プロジェクトベースの異動観(p.138-139)
 「次期型のxxモデルの商品戦略をやりたい」というように、異動先で自分の蓄積をどう活かし、どのような知を生み出し、さらには次に向けてどんな能力や経験を積みたいのかを明確にして、異動先を希望するという方向に変わっていくだろう。
・現場と一体化するお節介人事(p.153)
 知識創造型の人事部ならば、人事部自体に企業の知の体系が埋め込まれていなければ気が済まないだろう。自ら現場の知を吸い上げ、コンサルタントとともにアイデアを出し合い、自社固有の異動の仕組みを作成し、とりわけ運用にコミットする。
・大きな構えを持つチェンジリーダーは、自らが会社を背負っているという徹底した当事者意識をもっている。(p.177)


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T:1h(8/24行き帰り)→1.5h
P:これからのローテ、出向、育成異動等の調整に向け、チームの方針決めのヒントを得る
O:わんさか
---”

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2019年8月15日
読了日 : 2010年8月25日
本棚登録日 : 2019年8月15日

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