ライフワークの思想 (ちくま文庫)

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レビュー : 38
著者 :
hirocsさん -   読み終わった 

”みなとみらいのブックファーストで店頭にならんでいたのをみて購入
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★どんなに貧しく、つつましい花であっても自分の育てた根から出たものには、流行の切り花とは違った存在価値がある。それが本当の意味での“ライフワーク”である。(p.12)
・カクテルと地酒の比喩(p.14)
 酒でないものから酒をつくった時、初めて酒をつくったといえる。ただし、その過程で失敗すれば、甘酒になってしまうかもしれない。酢ができてしまうこともあるだろう。必ず酒になる保証はないが、もし、うまく発酵してかりにドブロクでもいい、地酒ができれば、それが本当の意味で人を酔わせる酒をつくったことになる。(中略)
★われわれは、地酒をつくることを忘れて、カクテル式勉強に熱中し、カクテル文化に身をやつして、齢をとってきた。(中略)もちろん、すばらしいカクテルをつくってくれる人も必要だが、それで、酒をつくったように錯覚してはならないのである。
・根のあるものは一時、葉の散ることもあろうし、枝の折れることがあるかもしれない。けれども、めぐり来て春になれば、再び芽ぶき、花をつけ、そして実をつける。(p.23)
・そろそろこの辺で、できてもできなくても、酒をつくってみるべきだ。(p.26)
★人生の酒に必要なのは経験である。この経験を本などを読んで代用したのでは、カクテルになってしまう。やはり、その人が毎日生きて積んだ経験と言うものを土台にしなければならない。そして、それに加えるに、経験を超越した形而上の考え方、つまり、アイデア、思いつきをもってする。経験と思いつきとを一緒にし、これに時間を加える。この時間なしには酒はできない。時間は酒を“ねかせる”ため、経験とアイデアをねかせて作用させるのだ。頭のなかにねかせておいてもよいが、この二つのことを何かに書きとめておくのが便利である。そして、時々これを取り出して、のぞいてみる。のぞいてみて、何も匂ってこなければ、まだ発酵していない。何となく胸をつかれる思いをしたり、何か新しい思いつきに向かって頭が動き出す。(p.27)
★たしかに前へ走ることは進歩だ。だが、折り返し点ではそれまでの価値観をひっくり返して、反対側に走ることがすなわち前へ進むことになる。(中略)人生のマラソンにおいては、折り返し点を過ぎたら、今までとは逆の方向に走るということが、プラスなのだという発想の転換に達するのは生やさしいことではない。
 エリートが齢をとるとだんだんつまらない人になってくるのは、彼らが一筋の道を折り返しなしに走っているからだろう。(p.30)
・小出しに与えられた断片的知識を、小刻みに習得する。学習の方法はどうしても分析的にならざるを得ない。(中略)しかし、いったん習得した知識はバラバラなものではなくて、まとまりのあるものにしたい。この二つの立場を調和させるにはどうしたらよいのか。それに成功したとき、「知識は力なり」(ベーコン)と言うことのできる知識になる。(p.50-51)
・目のまわるような忙しい生活の中で、何かのはずみに見出されるしばしの間の仕事からの解放、それがヒマである。(p.74)
・入って来るインプレッションの方が出て行くエクスプレッションよりも圧倒的に多い。この両者のバランスをとる役割を果たすのが忘却である。隠れた表現行為であり創造活動であるということにもなる。
 #忘却は「創造活動」である!?
・三科・四学(文法・修辞学・論理学・数学・音楽・幾何・天文)のいわゆる自由七科 (p.93)
 #イギリスのパブリック・スクールに関して。
・泥縄式=muddling through
★感情は理性に比べて慣性に支配されやすい。(p.127)
 理性はしばしばその慣性から脱出する力を示す。同じ感情にしても、その内面の豊かなものはより強力な慣性を生ずる。しかし、慣性が必要とする十分な精神的エネルギーを伴わなくなると、惰性が起り、保守の弊害が表面化する。その惰性を克服する方法がすくなくとも二つあるように思われる。
 一つは、慣性の力を理性で意識的に削減するのである。(中略)
 もう一つは、惰性をそれからすこし離れた立場から見る態度である。慣性の勢いをちょっとかわしておいて、別の価値から批判する方法である。この方法から生まれるのが風刺やヒューマーである。(p.127:コンサバティヴ)
・どうもわれわれには交換という考えが乏しいように思われる。(中略)
 精神文化の交易となると、事情はまさに逆で、一方的輸入である。何でもかんでも外国のものを借りる。(中略)入れたらお返しに何かを出そうという考えがない。(p.154-155:島国考)
・陸つづきの外国をもっていない地理条件は、国民の純粋、潔癖、孤立などの特性を助長するが、何よりの特色は外国、ならびに外国人に対する過敏さであろう。(p.157)
★役に立つ教育といったケチな目標でなされることが、子供の魂に火をつけるわけがない。(p.176)
・ただ、男性的性格を忘れてしまうと教育は骨格を見失いかねない。目先きの細かいことをやかましく言っても、長い目で人間の教育は何をなすべきかというようなことが欠落しては泰山鳴動してねずみ一匹出ないかもしれない。教育熱が高まって教育はいよいよ荒れ乱れるというおそれもある。(p.178)
・ある人間をダメにしようと思ったら、やんわり、繰り返して、「あなたはダメになります」と言っていればいい。本当にダメになってしまう。ご亭主にそういうことを口ぐせのように言っている奥さんもすくなくない。結果は奥さんの予言のとおりになってくれる。(p.224)
 #ひょえ?、こわっ!!
・生活の条件がないときに若さを保つにはどうしたらいいか。いちばん簡単なのは、新しいことばを毎日すこしずつ覚えることだろう。(p.231)”

レビュー投稿日
2019年8月15日
読了日
2009年9月8日
本棚登録日
2019年8月15日
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